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夕飯は君の奢りね

どういう理屈なのか知らないが、明確な根拠法令も知らないが、使用者が被用者に対して残業を命じているときに食事を与えた場合には、その食事代は給与としなくてもよいらしい。どのくらいの金額のものが食事代にあたるのかなどの定義については税理士さんや弁護士さん、社会保険労務士さんなどのプロが解説してくれていると思うので、そちらを見てほしいが、日本の税制等の仕組みではどうやらそうなっているらしい。というのも、私が今働いている会社では「残業食」なる制度がある。転職前に働いていた会社でも21:00を過ぎるとカフェテリアにある「お金を払わなくても商品が提供される」自販機が置かれていて、コンビニで売っているようなサンドイッチなどの軽食が提供されていた。

現職での「残業食」は働く人にとって非常にありがたい制度だと思う。人数の多い拠点ではいわゆる社食と呼ばれる社員向けの食事処があり、決まった時間にそこへいくと温かい食事を無料で食べることができる。食べるにあたっては社内向けに作られているwebフォームに所定の事項を入力して申告しておく必要があり、この申告に基づいて所属部門に対して食事代の負担が請求される。上司が管理している部門の予算で奢ってもらうことになる。肝心の食事は世の中一般の食事と比べると比較的バランスのとれたものだと思う。カレーにしろパスタにしろワンプレートになりがちなのだが、たいがいサラダがついてくるのがいい。これと並行して弁当の配布をやっている。バーターなのでこだわりがなければ食事をとるのだが、弁当の方が地味におかずのバラエティが豊かで評判も良かったりする。焼き魚を中心に、煮物も入ったもので、洋食より和食派には嬉しい構成となっているからだ。詳しく書くと職場がバレそうな気がするのでほどほどにしておく。

皆さんの職場にはこのような制度はあるだろうか。もしよかったらコメントなどで教えてほしい。私はこれまで基本的に平日日中に就業時間が決められている働き方をしてきたのでわからないのだが、工場勤務や運輸業の隔日勤務のようなシフト制で同じような制度がどう運用されているのか気になる。いろんな働き方があるから同じ時間帯に働き始める人がいれば残業している人もいて休みの人もいるはずだからだ。そもそもこの制度は労働基準法で定められているような職場で必ずやらなければならない施策ではないので、私がこれまで働いてきた環境が特殊だっただけなのかもしれない。

思い返すとどちらも比較的食に対してこだわりがあるように思う。前職においてはランチで生野菜取り放題のビュッフェがあり、社員全員に割り当てられている利用券で月に2回まで無料で食べることができた。現職においても入社時に渡された本は仕事のやり方とかそんなものではなく、良い食事をとって健やかに暮らそうという提言のもので、「残業食」の制度自体も残業続きの日々の中カップ麺ばかり食べていた若手社員を見かねて経営者がやり始めたもののようだ。食が身体を作り、そして健やかな生活を作るのはまちがいないのだ。いいように働かされているという気持ちは多少ついて回るが、夕飯奢ってくれるなら気持ちよく働けるもので、心の中で「夕飯は君の奢りね」と呟いてこれからも日々の暮らしを続けていきたい。


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