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スパゲティを楽しもう

君はスパゲティが好きか。わたしは好きだ。たいがい麺類ばかりの食事の中にかなりの頻度で割り入ってくるくらいスパゲティが好きだ。そもそもパスタが好きだ。平打ち麺に太麺細麺中太麺、どれでもいいしラザニアも自分で作ることがないものの好きだ。

仕事にゆとりがあるときはしばしば職場の近くにあるイタリアンレストランでスパゲティを食べている。

ここの特徴はとにかく量が多いこと。普通盛りと呼ばれるスパゲティまたはピラフに前菜のサラダ、食後のコーヒーがついて1,200円なので比較的値段も高めだと思うが、港区の一等地でこのボリュームでバランスの取れた食事ができるなら安いものだとわたしは思う。またありがたいことに喫煙所も付いているので多少混んで待ち時間ができてもタバコを吸って待てるところも喫煙者としてはポイントが高い。

職場の入居するビルが変わって大手町から青山へ移ってきてランチスポットを探している中で偶然見つけたお店だった。店内はやはり男性が多い。店員の女性もとてもフランクなのでレストランというよりは食堂の雰囲気もある。長く通っているように見える男性たちはたいがい覇気のあるビジネスマンで、高価な腕時計をつけており細やかながら港区を感じられるし、ぼくもあやかってスパゲティでエネルギーチャージを十分に行い仕事を頑張ろうと思う。

夜遅くまで頑張った後も昼間にあれだけ食べたはずなのに腹は容赦なく減る。乗り継ぎ駅で一度地上に上がってふらふらと歩いてみても空いているのは牛丼屋くらい。牛丼が悪いとは言わないが、それだったら家でゆっくりご飯を食べたい。空腹を我慢して地下鉄に揺られて帰ってくる部屋は外に反して少し温かい。着替えて眠気も少し感じる。できることならさっさと眠ってしまいたいけども、そんなときにちょうどいいのはやはりスパゲティなのだ。

パスタと書いてあるが正確にはスパゲティである。そしてこの料理はスパゲティこそ使うものの本質的には油そばやまぜそばとほぼ同義である。昔どこかの料理エッセイでパスタはイタリア風油そばだと書いてあるのを読んでものすごく気が楽になったことがある。これはこうでなくてはならない、という固定観念は案外身近な奥深いところに入り込んでいて、市販のパスタソースなりトマト缶なりを使って食べなければならないと思い込んでた頃があった。それが今は適当に作ってもなんかそれっぽいしまあ食って美味ければ全部一緒なのだ。

ペペロンチーノだってもっとわざわざ市販のソースを買わなくたっていい。硬めに麺を茹でておき、フライパンに気持ち多めのオリーブオイルとニンニク鷹の爪を弱火で温め、香りが立ってきた頃に湯切りした麺を入れ、ゆで汁を少しずつ入れてマンテカーレすれば良いだけなのだ。

料理は科学だと言われるけどもあまり厳密でなくて良い。そもそもこの世界はそんなに厳密にできていないのだ。そういう傾向があるというのを細かく分析して法則ができる。その考え方を応用して日々の生活がある。原理原則がどうなのかは知っておく必要はあるもののそこから大幅に逸れない限り応用しても大きく下手をすることはない。もししくじったとしても美味しく食べて次に生かしてその感覚を身につけていけばいい。これは生きていく中で巡り合うすべてのことについても同じではないだろうか。

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