見出し画像

朝ごはんはちゃんと食べようね

忙しい朝は貴重な時間の中でもとりたててあっという間に過ぎていくものだ。おそらく私の通勤時間は首都圏平均の50分より若干長いドア to ドア1時間ちょうど程度で、9:00少し前に港区の職場に着こうとすると板橋区の自室を7:50には出ていなければならない。食事なり身支度をするとなると少なくとも30分前の7:20ごろには起床しておきたいものだ。しかしながら毎夜毎夜日付が変わっても資料作成をしているとその時間に起きることも少し辛いものがあって、7:30を少し過ぎるくらいに目が覚めてシャワーを浴び心拍数が急上昇するのを感じながら服を着て家を出ることになる。社会の中に出ていくにあたって身支度を怠るのはあまり考えられず、当然のように優先順位を下げられるのは食事になってしまう。

どういう思想なのか、科学的根拠に基づいているのかは知らないが、私は朝食を摂ることが明確な善だという価値観のもとに育てられてきた。経験からくるものになるが少し朝早めに起きてちゃんと飯を作って食べて始めた朝は、そうしなかった朝よりだいぶ具合は良い。わざわざ作らずとも前日にスーパーで買っておいた惣菜パンと牛乳だけでも腹に詰めておくだけでよく、朝食を欠いた日は11時過ぎから耐え難い空腹に襲われ集中が損なわれる。食べすぎても良くはないので程々にしておくことは言わずもがな。

慌ただしい朝、出立前に食べられないときには行儀が悪いが乗換駅にあるコンビニでおにぎりを買って電車の中で食べてしまうときもある。あまり混まない車内だから出来ることで押し合いへし合いの満員電車では大顰蹙だし、電車の中が空いていたとしてもそもそも電車の中でおにぎりを食べるのは褒められたことではない。食べているとたいてい白い目を向けられるが、こっちも一生懸命生きているので許してほしい。他にも通勤経路に朝早くからやっている立ち食い蕎麦屋があったときはよく早めに家を出てそばを啜ってから出勤していた。昼間にはない朝限定のお得なメニューがあることも多い。特に冬の朝なんかは体が温まるのでおすすめである。

冬の朝によく食べたもので思い出すのは、大学進学とともに北海道に来てしばらくの間食べていたおかゆと雑炊だ。とにかく寒い北海道の冬は体を温めてやる必要がある。私がいたのは小樽と札幌なのでもっとも寒いエリアではないわけだが、それでも氷点下を上回ることは稀な期間が数か月続く。しかしながら他の地域と比べて東にあることから少し朝が早く、働き出してからも朝から前の日に炊いて置いておいた冷やご飯をお湯で温めたり、そもそもお粥として炊飯器で炊いたりして食べていた。大学進学まで実家での朝食はパンと牛乳と生野菜のサラダが多かったのだが、そんなものは冷たくて食べる気がしない。冬はコーンスープをつけてくれたが、それより何より体を温めるのは主食が温かいものだろう。そして、この時期特に経済的に苦しかったので、お金をかけずに食べられたのも良かった。

この頃から比べるとだいぶ楽にはなったが、いまだに冷え込み厳しい冬の朝には無性に食べたくなる。今日も少し早めに起きて拵えた。なんとなくその当時の気持ちを思い出して、また今日も一日頑張ろうと少し前向きな気持ちになるのである。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?