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レイトショーで思い出した

普段さほどエンタメに興味があるわけではないのだが、惰性で見続けているアニメの劇場版公開といくつか気になるものが上映されていることに気づく。日中は働いたり遊んだり何かと忙しいから映画を見に行くのは夜が多い。レイトショーは少し安くなるしなんだか時間の使い方が贅沢だから好きだ。どうしても見たいものがあるなら有楽町のビジネスホテルを取って、シャンテの地下でご飯を食べて、TOHOシネマズで映画を見て、そのままホテルに戻って寝るのがいい。そうすると翌朝会社へ行くのも楽だ。

映画を見るときは必ずポップコーンが欲しくなる。塩味でもいいけれど映画館に行ったらやはりキャラメル味が欲しくなる。自分で作るのはなかなか難しいからだ。夜遅くにいくとできたてを食べることはままならないが別に構わない。ポップコーンなんて乾燥させたとうもろこしの粒を買ってくればいくらでもできる。それよりも映画館にきたなら映画館でしかできないことをやりたい。今でこそシネコンが増え持ち込み飲食のNGを言われることが増えたが、昔の映画館はもっとおおらかだったそうな。持ち込み飲食もできたしタバコも吸えた。ギリギリその時代の残滓を感じられる場所にいたと思う。

うちの母は映画が好きだったので幼い頃から比較的映画館に連れて行ってくれた。新作のアニメはたいがいシネコンに行くことになるのだが、当時はまだ単スクリーンの封切り館が最後の体力を振り絞って隣町の明石に残っていた。東宝制作のものをいくつか見に行った記憶がある。ポップコーンはおそらく買わなかったと思う。今でこそ傍に必ず欲しいなと思うけれど、当時はさほどそうでもなかった。どちらかというと見終わった後に程よい時間になっていることが多いから、映画の感想など言いながら食事をすることのほうが多かった気もする。

国交省が漁港を開発規模ごとに第1種、第2種、第3種、特定第3種、第4種と分けていて、第3種の2つが取り立て大きい漁港を指す。わたしの地元は県内3つある第3種の漁港があるほどには漁業が盛んで、明石にも第2種漁港があり、それらのおかげで明石の街は新鮮な海の幸で溢れている。魚の棚という商店街があり、そこで地元の人間は「玉子焼き」という「明石焼き」を買ったり食べたりするのが良い。もはや映画は関係ないが幼馴染の祖母がよく買ってきてくれて、分けてくれたのを覚えている。そして昔から何も臆せず食い意地を張り続けており恥ずかしくなってきた。

そういえばだが、新開地にある名画座には軽食を持ち込んで行った。母は朝からサンドウィッチを拵えてくれた。ここの記憶は1番新しいもので高校生の頃だったと思う。何度か神戸に帰るたびやってるかなと近くを通るたびに見るけど、多分やってるし、大丈夫。ここがやってあるだけでどれだけホッとするだろう。

ふと映画の話をしようと思ったのに、食べてきたあれこれをふと思い出すし、買い与えてくれた人のことや一緒に食べた人のこともとにかく懐かしくなってくる。久しぶりに食べたいなという気持ちはもちろんあるのだけれど、それよりなによりいろんな人に会って話がしたくなる。ちょうどいい季節だしこんな気持ちにもなるのかもしれない。

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