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まともって何…?

挑戦することは怖いです。「失敗したらどうしよう」とか「今のままでいいんじゃないか」と思うことも多々あります。

就職活動やら転職活動、引っ越しやら、好きな人へ告白するときなど、一歩踏み出す時に足がすくんで、「無理せずとも今のままでも十分」と、僕も以前はよく思っていましたが、挑戦することこそが人生の醍醐味だということを、『天 -天和通りの快男児』(出版:竹書房) という漫画 (福本伸行先生著) で学びました。

▼ 『天 -天和通りの快男児』 という漫画について

元々は麻雀漫画でしたが、最終章の3巻分は、「【天才と呼ばれた勝負師:赤木しげる】がアルツハイマーにより勝負が出来ない身体になったため、安楽死による自死を選ぼうとする中、昔の仲間が説得する」という話で、麻雀がわからなくても、それまでの経過がわからなくても、十分に読み応えのある話となっています。

特に、【『どこまで頑張っても自分は天才になれない』と痛感して、技量はあるのに勝負の世界から身を引いて数年、悶々とした生活をしていた昔の仲間:ひろ】と、赤木との会話は、様々な方がブログに取り上げているように、心に突き刺さるものがあります。

もう... 本当にただただ、読んでいただきたいので、あとは内容を抜粋して記載します。

▼ 『天 -天和通りの快男児』 最終章抜粋

ひろ:「赤木さんにはわからない。へこたれる人の気持ちがわからない!やろうと思っても最初から萎えてしまう。心ならずも停滞してしまう、そんな人間の気持ちがわからない!なぜなら何でも出来る人だから...!」

赤木:「そうかな?けどよ、仮にそうだとしても、そういう才能みたいなことと、命は関係ねぇだろ。いわゆる凡庸なヤツの中にも輝いている者はたくさんいる。いくらでもいる。」

   「楽しむか、楽しまないかだけだ!」

ひろ:「楽しむ?」

赤木:「勝負するってことよ!」

ひろ:「だからそれが無理なんですって!勝負を楽しむなんていうのは、あくまで勝つ人の話で、上には上がある。赤木さんや天さんの麻雀には届かないってわかってしまった以上、もう勝負なんて、勝負を楽しむなんて不可能でしょ!そんなこと!ただ傷つくだけじゃないですか!そんなことしても!」

赤木:「そうかな?案外そうじゃないんだけどな。まぁいいや。そこは置いとこう。そこはひろの言う通りだとしよう。」

   「しかし、そんなに悪いかな?傷つくって。思うようにならず傷つくっていうかイラつくっていうか。
そういうの、、、悪くない。まるで悪くない!」

   「俺はいつもそう考えてきた。痛みを受ければ自分が生きてるってことを実感できるし、何より・・・『傷つき』は奇跡の素。最初の一歩となる!たいていの奇跡、偉業は初めにまず傷つき、そのコンプレックスを抱えた者が、通常では考えられぬくらいの集中力や持続力を発揮して成し遂げるものだ。つまり、天才とか言われる連中の正体は、みなその類の異常者!
さらりと生きてない。あいつらもさらりと生きてない。結局、ハナっから勝つ人、負ける人なんていないんだ。結果表れるだけ。勝ったり負けたりが。」

  「決めるなよ。
   自分が勝てないなんて、決めるなよ。
   わかったもんじゃないって。勝ち負けはわからない。

  「だいいち、いいじゃないか。仮に負けても。何かをして仮にそれが失敗に終わってもいい。」

ひろ:「そりゃあ小さな失敗ならいいですよ。でも大きく人生そのものに関わる失敗ってのは!」

赤木:「それもいい。いわゆる世間でいうところの失敗の人生もいい!」

ひろ:「バカな!メチャクチャ!どこがいいっていうんですか!そんな人生の!失敗の人生っていったら、誰にも認められず軽んじられ疎まれ嫌われる。軽蔑や貧窮、そんな人生ってことでしょ!?どこがいいっていうんですか!そんなのの!」

赤木:「そいつは嫌だな(笑)」

ひろ:「そんな羽目に陥るくらいなら、まだ今の方が・・・まともっていうかそれなりっていうか・・・」

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赤木:「やっぱりそこか。今ひろは『今の方がまとも』って言ったが、

    その『まとも』って何?

    平均値、世間並みってことか?そういう恥ずかしくない暮らしってことか?

    知ってる?それだぜ!お前を苦しめているものの正体って。お前は、その『まとも』、『正常であろう』っていう価値観と、自分の本心、魂との板ばさみに苦しんでいたんだ。振り回されてきた。その『まとも』、『正しさ』に。

    考えてみろよ。『正しい人間』とか『正しい人生』とか。それっておかしな言葉だろ?ちょっと深く考えると何言ってんだかわからないぞ。気持ち悪いじゃないか。正しい人間、正しい人生なんて、ありはしないんだって、そんなもの元々。ありはしないが、それは時代時代で必ず表れ俺たちを惑わす、暗雲!俺たちはその幻想をどうしても振り捨てられない。一種の集団催眠みたいなもん。まやかしさ。そんなもんに振り回されちゃいけない。
とりあえずそれは捨てちまっていい。そんなものと勝負しなくていい。そんなものに合わせなくていい。つまり、そういう意味じゃ、ダメ人間になっていい!」

ひろ:「・・・赤木さん・・・」

赤木:「話しておきたかったんだ。今日それだけはひろに。いかにもお前その辺に引っかかってそうだったからよ。

    さぁ、もう漕ぎ出そう!
    いわゆる『まとも』から放たれた人生に!

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赤木:「無論、気持ちはわかる。誰だって成功したい。わかりやすい意味での成功。世間的な成功。金や地位、名声、権力、称賛。そういうものに憧れる。欲する。けどよ、ちょっと顧みればわかる!

    それは『人生そのもの』じゃない。
    そういうものは全部・・・飾り!人生の飾りに過ぎない!

    ただやる事、その熱、行為そのものが、生きるってこと!実ってヤツだ!

    わかるか?成功を目指すな、と言ってるんじゃない。その成否に囚われ、思い煩い、止まってしまうこと、熱を失ってしまうこと。これがまずい。こっちの方が問題だ。

    いいじゃないか!三流で。熱い三流なら上等よ。まるで構わない。構わない話だ。だから恐れるな!繰り返す。失敗を恐れるな!


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