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ひとりひとりに合わせた糖尿病治療を…

私は糖尿病家系で、父と弟が若い頃から2型糖尿病です。自分も若い頃から気をつけているつもりでしたが20代半ばでまず妊娠糖尿病になり、その後気づかないうちに本格的な糖尿病に移行してしまいました。

当初は1型糖尿病も疑われたのとMODY(特定の遺伝子が原因でインスリン分泌になる、遺伝する若年発症の糖尿病)の可能性も言われましたが、遺伝子検査は受けておらず、後に「たぶん2型糖尿病でしょう」と言われて今に至ります。

「2型糖尿病」と一口に言っても、血糖値を下げるホルモンのインスリンが十分に出ているけど効きにくいだけの方から私のようにインスリン分泌不全がある方まで状態はいろいろです。

いろいろな患者がいて、それぞれの思いに寄り添ってくれる医師…私の現在の主治医がそういう方であり、それがきっかけで「糖尿病内科が舞台の医療漫画を描こう!」と思って頑張って漫画家になりました。

私が『ケットウ!~糖尿病内科医・甘栗美咲~』の中で具体的な食事療法や薬についてあえて深く触れていないのは、いろいろな患者がいらっしゃるから。

何かひとつのことを「これが最も正しい!」としてそれ以外を否定してしまうのはどうかと思うので…誰が見ても明らかにそれは良くないだろうと思うこと(入院中なのにお菓子やパンをこっそり大量にどか食いなど)は描きますけどね。

糖尿病食事療法は昔よりは「個人に合わせたやり方で」という方向に向かっているとは思います。 2023年8月に発売された医学書「リアルとロジックで語る糖尿病患者支援・コントロール」76ページには『糖尿病患者にとって有効な炭水化物摂取量の根拠となる,強固なエビデンスはいまだ存在しません。したがって,低炭水化物ダイエットを強く禁止する根拠もありません』とあります。

インスリン分泌不全がある自分が主治医と管理栄養士の許可を得て糖質制限をしていながらケットウ!では特にそのやり方を勧めていないのは、そういうことです。人それぞれ適したやり方があると思うので。

現在正しいとされているやり方は、いずれ変わっていく可能性があります。でも病気を巡る医療従事者と患者のドラマは、普遍的なものだと思います。ブラック・ジャックもそうですが。


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