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リハビリテーションは暗黙知や実践知も重要だと思うというお話

リハビリテーションにおける臨床教育において最も伝えることが難しい部分としては、普段エビデンスに基づいて、それを臨床で行ってきたものを伝える、ということだと思います。
Evidence Based Practice of Medicine
とでも言いましょうか。
この部分自体を医療統計にかけて客観的に抽出するのはとても困難です。

数字でわかるようにしていってわかりやすくする方法を「形式知」と言いますね。我々医療の世界でも使われるEBMがそれに当たるかと思います。

それに対してEBPMのように数値化することは難しくても、個人の中で積み上げてきたものを「暗黙知」と言ったり、少し意味は違うかもしれませんが「実践知」といったりもします。

我々リハビリテーション職種はこのように考えると「暗黙知」「実践知」のようなものが重要な世界なのかもしれないなと思います。経験年数で人を計る傾向があるのもそのせいなのかもしれません。

では、アイキャッチのように経験年数が高くなればその世界で一流になれるのか?というとそれほど単純でもない、というのもこの世界の特徴ではないでしょうか。経験年数の高い療法士の先生の話を聞いて
「???」
となったことはありませんか??
当時の私は自分の力量や経験年数が足りないからわからなかったのでしょうか。
それも一概に言えないかもしれない、と今は思っています。

ホリエモンさんのこの発言にはさまざまな意図と思いがあるのかもしれません。が、何か明確な目的を持ってやれば経験年数だけが何かを計る尺度にはならないかもしれない、ということが示唆される内容です。

一方でそれでも、リハビリテーション職種においては「暗黙知」「実践知」が重要だと思う、わけです。これは数値化の難しい中でも経験してきたことで得ることができる貴重なスキルです。
でも、これを伝える、となると、やはり難しいわけです。

暗黙知の世界観で話される典型的な方が長嶋茂雄終身名誉監督でしょう。
擬音をたくさん使用され、きっと本人は自身の得てきた感覚を伝えようとされているはずです。しかしそれは伝わらないのでは?という人も多かったと思います。
私が経験年数の高い療法士の先生の話を聞いて
「???」
となった時も、これと同様だったのか、というと今となっては分かりません。ただ、何か一定の明確な目的を持って得てきた暗黙知・実践知なのか。ただただ過ごしてきた年数の長さだけなのか。
これもまた、よく考える必要があるわけです。一つ言えるのは医学も人口統計も、保険点数もリハビリテーション職種の数も変わっている、ということです。

自分自身臨床教育機関、という立場にある中で、この課題を解決する明確な策はありません。可能な限り「形式知」の形で理解・納得してもらうことも医療従事者である以上とても大切なことです。
ただ、教育機関という立場の中で暗黙知・実践知を伝えることも非常に重要です。
現在伝えられるかもしれない暗黙知・実践知の部分をさらに高めるにはどうしたらいいか、を考えています。

少なくともオンライン上で伝えることができる最も正確なことは「形式知」のものがほとんどです。
暗黙知・実践知をどう伝えていくか、これが我々にとっての新たな課題であり、自分自身興味がつきません。この「伝え方」の部分の実践知を我々自身高める必要があります。

さて、まとめです。
今日のタイトルににもあるように、我々リハビリテーションの世界は暗黙知・実践知が非常に重要です。そしてそれはただただ過ごす経験ではなく、何を知りたい・得たいのかを掘り下げて掘り下げて行った先にあるものです。その一つ一つの積み重ねが、リハビリテーションのコアの部分になると思っています。だからこその知識技術の共有、という考え方が大切である、と私は考えています。教育機関として伝えられる限り伝えれる方法も模索し、また知識技術をシェアできる環境も模索していきます。


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