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映画レビュー四十四本目 : 「NINE」

占いを見てたら「キレイなモノを観なさい」と出て来たので、何かあったっけ?とDVDやらブルーレイやらを見直すも、ドス暗い映画ばっかり。

ま、そんなんが大好きなんですが、何かこう、カフェバー(死後30年語)の白壁に投影されてそうな映画なんて無いか?
とかふざけた事を考えながらGYAO!のラインナップを眺めてたら、あったじゃん!

これ!

というわけで、『シカゴ』でお馴染みのロブ・マーシャル姉さん監督作品。
一応しるしておくと、フェデリコ・フェリーニ監督作「8 1/2」のブロードウェイ・ミュージカル版の映画化。


だから本家の映画作品と比較してはいけない別物。
ここで古い映画ファンは目測を誤ってしまいがち。
これはあくまでも、あのクラシックを「題材」にしただけの音楽劇。
だから、画面とか女優のスタイリングとかの美しさを追えばいい。話は、正直どうでもいい。
女狂いの映画監督が、散々浮気した果てに落ちぶれていって...ってだけ。

その中でも、自分的に一番グッと来たのは、ジュディ・デンチ。
「あるスキャンダルの覚え書き」で数々の映画賞にノミネートされた後での出演。
嫉妬に狂う鬼レズビアン教師役も強烈だったけど、ここでの監督に寄り添う衣装担当役もじんわり来る。
しかもミュージカル・シークエンスでも見事な歌と演技を披露。
近年は「007」シリーズの「M」役が大当たりだけど、監督はこの後「パイレーツ・オブ・カリビアン/生命の泉」でもカメオ出演させてたりと、かなりお気に入りのご様子。ここに、彼女の人となりを垣間見ますね。絶対にイイ人。

そして、どうしても記したいのは、ソフィア・ローレン。
今現在も現役なのでしょうか??
ともかく10年前公開の本作では、ひ孫ぐらいの歳の子の母親役まで演じてます。モノクロシーンだから違和感無し。
出番こそ少ないものの、監督の「出て頂きましたぁ!」感がヒシヒシと伝わる印象深さ。
自分的には、本作の前に彼女をスクリーンで観たのは、ロバート・アルトマンの「プレタポルテ」だったんだけど、往年の名相方、マルチェロ・マストロヤンニとの掛け合いが最高で、そこぐらいしか覚えてないかも。
アルトマンのオマージュは間に合ったけど、マーシャル監督もマルチェロが存命で現役だったら、プロデューサー役を依頼していたのでは。
と、そのプロデューサー役のリッキー・トニャッツィの姿を観てて想います。
この人に迫るシーンも、もっとあれば良かったのになぁ。

他にも、沢山の名女優、大好きなペネロペ・クルスやニコール・キッドマンらも出て来て、この監督ならこう出すだろうなーって感じで妖艶な雰囲気を醸し出してくれますが...

DJとしてはやはり書いとかなきゃいけない、ファーギー。
R&Bグループ、Black Eyed Peasの紅一点として「Where is the
love?」で全世界を席巻する以前は、3人組ガール・グループ「Wild Orchid」の一人で、自分も彼女らの曲「Talk To Me」のJuniour Vasquez remixをよく使ってました。
そんな経歴の人だから、No Doubtのグウェンみたいにバンドを母体として捉えてなくて変幻自在に動いているのだなぁと。批判ではなく尊敬です。
ファーギーは、出番としては一番印象的で、映像では曖昧にしてるけど、要は「カネだすとヤラせてくれる浮浪者の女」です。w
ミドル・ティーンでも童貞だとバカにされてるような社会が多分当時のイタリアにも既にあって、筆おろし役にそういう女性が居たんでしょうね。
それを、「イタリアの男たち、奮い立て!」と踊る彼女のシーンで濁す。
巧いです、アメリカ映画ならでは(嘲笑)。


と、流し見必至!と書きたかっただけなのに、細かい見せ場が多くてつい長文になってしまいました。
いえ、別に「必見!!」とは言いませんよ、ダニエル・デイ・ルイスの情けなさと、彼の歌い踊るシーンにも驚きましたけど。

ただ、大画面テレビなんかを居間に置いているご家庭で、食後にくつろぐ最中のBGVとして流しておくには、豪華な動画壁紙として有効なのかな。
とは、思いました。
でしょ?姉さん。

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