見出し画像

ニューグリフィンズ - 今日のミュージック (2018)

画像1

画像2

 ヴォーカル/ギターの前里慎太郎とドラムス/コーラスのフリハタマリカの2人で活動し、昨年(2020年)8月のFlexibleにもゲスト出演したバンド、ニューグリフィンズのファーストアルバム。ギターとドラムスとヴォーカルという必要最低限のシンプルな構成ながら、物足りなさを感じることはなく、2人の魅力と個性に引っ張られてラストまで一気に聴かせてくれる。
 フロントマンである前里慎太郎は、とにかく魅力溢れる歌声の持ち主だ。一語一句聞き取れる滑舌の良さと、バンドサウンドにぴったりの恵まれた声質を併せ持つ彼は、ラップと歌、そしてその中間的なスタイルの全てを飄々とこなしてしまう。また、ラップが占める割合が多い作品にも関わらず、フリハタマリカのドラムはヒップホップとは適度な距離感を保ったスタイルを貫いている。そんなアプローチこそが、このバンド独自のオリジナリティを確立しているのだと思う。
 個々の楽曲もとても魅力的だ。聴いていると脳裏にPVが再生されるような、映像的な表現力が素晴らしい。何気ない風景や出来事、過去の記憶などに彩りを加え、日常や生きることの楽しさを再認識させてくれる。おそらく、アカペラを聴いたり歌詞カードを読むだけでは、そこまで立体的でカラフルな世界は浮かび上がってこないだろう。歌詞の内容を効果的に伝える為には、言葉とメロディとサウンドがうまく噛み合っていること(メッセージやテーマに相応しいサウンドを選ぶこと)がいかに重要であるか、ということに改めて気付かされた。
 春風のような優しいタッチで素敵なメッセージをリスナーの心まで届けてくれる、これから時期にぴったりの魅力溢れる作品です。おすすめ!

(Instagramより転載)


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?