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キャプテン・オブ・ザ・ブルーノート

 文明から遙かに離れた海洋、夜空に浮かぶ月が、巨大タンカーを照らす。航海灯が消され、不気味な静寂をまとった海上の巨城。1隻の小型船に乗り、アーミースーツを着たボブとジョンは闇に紛れて忍び寄る。

「あれが連絡を絶った無人タンカーだ」

 ボブが指をさす。ジョンのコンタクトレンズ型ディスプレイがタンカーを認識し、暗闇の中に輪郭が浮かび上がる。

「海賊か?」「分からない。情報収集も我々の任務だ」

 ジョンが手信号を送ると、グローブが認識し面前にマップが浮かび上がる。離陸まであと32秒、無人船迎撃システムエリアまで235秒、着地まで442秒。スーツで飛ぶときの勢いで銃を落とした同僚を思い出し、ジョンはM4カービンを持つ手に力を込めた。

「AIの反乱だったらどうする?」「そうでないことを祈ろう」ボブは十字を切った。「海賊なら殲滅できるがAIは殲滅できない」

 スーツが音を立て離陸準備を始める。離陸まであと3秒、2秒、1秒

【続く】

#逆噴射プラクティス #逆噴射小説大賞 #小説  

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