失語症の話
先日、失語症者向け意思疎通支援事業での意思疎通支援者養成講習会が修了しました。失語症への理解を深めていただくとともに、失語症者の社会参加の支援をしていただく人を養成する事業です。
今回は「失語症」についてお伝えしていきたいと思います。
1.失語症とは
失語症(aphasia)とは、大脳の言語に関係する場所が損傷されることで、それまで自由に使っていた、「聞く」「話す」「読む」「書く」といった言葉の機能が低下する状態を言います。
大脳の言語に関する場所が損傷される原因としては、脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血等)が多く、約9割を占めています。その他にも、交通事故等による脳外傷や、脳腫瘍等が原因とされています。
2.「聞く」側面の症状
失語症での「聞く」側面においての症状は、下記のようなものがあります。
・聞いて理解することが難しい
・長い文章や複雑な内容の文、速い話し方は理解しづらい
・真似をして繰り返して言う(復唱)ことはできても、意味を理解していないこともある
聞こえに問題があるわけではないので、大きな声で話しかければ理解できるというわけではありません。
3.「話す」側面の症状
失語症での「話す」側面においての症状は、下記のようなものがあります。
・喚語困難・・・言いたい言葉が出てこない
・錯語・・・言い間違えて別の言葉を言ってしまう
・ジャーゴン・・・意味の分からない話し方になる 等
失語症の症状の代表格ともいえるのが、喚語困難です。話そうと思っても言いたい言葉が出てこないために、無言となってしまったり、「えっと…うんと…」となってしまう状態です。
また、錯語も特徴的です。「みかん」と言いたいところを誤って「りんご」と言ってしまったり、「眼鏡」と言いたいところを「メガレ」というように言い間違えたりと症状が多岐にわたって生じます。
4.「読む」側面の症状
失語症での「読む」側面においての症状は、下記のようなものがあります。
・文字は見えていても、意味が理解できない
・漢字の方が仮名文字よりも理解しやすい
・声に出して読む(音読する)ことができない
・音読することはできても、意味が理解できていないこともある
失語症の特徴として、一般的に意味を示す表意文字である漢字の方が、音を示す表音文字である仮名文字よりも理解しやすい特徴があります。
5.「書く」側面の症状
失語症での「書く」側面においての症状は、下記のようなものがあります。
・文字を思い出せない
・文字を書き誤ることがある
・仮名文字の方が漢字より難しい
・文章を書くことは文法処理が必要であり、難しい
たとえ、音読できた文字であっても、いざ書こうとすると、その文字を思い出せずに書けない場合や書き誤ることがあります。
今回は、失語症とは何か、その症状についてお伝えしました。
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