あのとき始まったことのすべて：中村航：あの頃の、痛みが、甦る…

「あのとき始まったことのすべて」（21/2022年）

あのとき始まったことのすべて (角川文庫)

甘～～～い！そして、イタ～～～い（笑）中学時代の同級生と10年ぶりに再会して、恋が再燃するという非常にシンプルなお話です。直球ど真ん中、文句なし。

仲良し4人組の中の中心だった男性がメイン。脇を固めるのは、体が弱くて休みがちだった女性。男は過去にその女性に告白したことがあって、見事にスルーされた「爽やか」に切ない思い出があったりして。

その男性が10年ぶりにもう一人の女性と会ったことで物語は動き始めます。ストーリーは現在の話と、少年少女時代の話がタイミングよく切り替わりながら展開していきます。

感想で「文体がキレイすぎる」と書いていた人がいました。その人は、それが良くないという感想でしたが、僕は逆に、この位、徹底的にキラキラと綺麗に書かれていた方が、「あの頃」は所詮あの頃であるという痛さが身に沁みて良かったです。そう、キレイにしてしまいたいのです、美化するわけではありません、整然とした箱の中にドロドロした青春時代のおぞましい感情を封じ込めたいのです。

自分は男子校だったのですが、それなりに痛いことを繰り返していました。本当に恥ずかしい若さゆえの些細な暴走…ああ、痛い、この痛み、酒でも飲まなきゃ収まらないですよ～！！！