暗手:馳星周:あれは約20年前のこと

「暗手」(066/2020年)

約20年前に読んだ「夜光虫」の続編だったとは、、、そのことに嬉しい衝撃を受けて読み始めました。でも、ご安心ください。この作品から読んでも全く問題ございません。これを読み、過去がどうしても気になったら(多分、そうなると思いはしますが)、即、読んでください。

主人公の彼(敢えて「彼」とします)は、イタリアのミラノで「人殺し」以外は何でもやる屋をやってます。そして、今回の仕事はサッカー八百長の仕込みです。

そもそも、過去に野球の八百長に関わっていただけあり、業務は順調。ですが、まさかの、ねえ。やっぱ、これかい。

馳星周の筆力爆発。素敵な悪人たちの描写にドキドキ。やっぱカッコいい。特にサイコーの殺し屋・馬兵がいい。何のこだわりも無い。プライドも高くない。で、話の分かる奴、これ最強。もっと他作品でも活躍して欲しかったな。

人を嵌めて、落としていく描写もクール。馳ワールド全開。20年前の苦い記憶に、さらに苦しさを上塗りしていく様は、無様でもあり、逆に暗く、鈍く、冷たく輝いています。

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