樹上のゆりかご:荻原規子:一癖ある高校青春ストーリー
「樹上のゆりかご」(43/2022年)
この作品に似た傾向の高校に通っていたか、否かによって感想は大きく異なると思います。私は前者だったので、ある程度リアルな感情で読めました。その前提で書いてみます。
まあ、よくもこう面倒な高校生を集めたもんだな、っていうのが正直な感想です。こじらせキャラばっかり。それなりに偏差値の高い学校で、勉強はそれなりにこなしつつ、合唱、演劇、運動会といった一瞬のイベントごとに青春を燃やす、もちろん燃やさない奴がいてもOKな感じ。まあ、高校生らしさとオトナな雰囲気が入り混じる面倒な16,17,18歳の男女なんで面倒なのは当たり前なのですが、ここまで潔く書かれると嬉しいです、本当に。
主人公の女性はその中でも「真っ当」な方の設定です。その彼女の周りで事件が起こります。パンにカッターが!脅迫状が!そして放火か!?サスペンスミステリ要素もありつつ、学園生活が鮮やかに描かれていきます。男女の機微は高校生だったり、各行事に関する政治的な駆け引きは意外とオトナだったり、あやふやなゾーンで生きていたあの頃が蘇ります、ま、私は男子校だったのですが…
犯人探しが物語の本筋ではないので、あやふやな結末が僕は好きです。高校時代に正解なんかなくて、明確な基準とかもなくて、今日の友達は明日の敵で、明後日はそもそも友達という概念に全く興味がなくなっているわけで。
でも、そんなことを考えていた自分が、今思えば超恥ずかしくて、でも戻りたくて。
ノスタルジー全開でしたとさ!!!
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