水に眠る:北村薫:贅沢な、読者を選ぶ、10の短い出来事

「水に眠る」(033/2020年)

1994年の短編集です。携帯電話もメール、インターネットも普及していなかったあの頃。

恋愛小説 / 水に眠る / 植物採集 / くらげ / かとりせんこうはなび / 矢が三つ / はるか / 弟 / ものがたり / かすかに痛い。どれも明確な起承転結があるわけではありません。いわゆる「オチ」を期待するならば、読まない方が良いと思います。物凄く低評価な感想とかありますが、北村薫作品の中の、ある意味「メジャー路線」を期待してたら、まあ、そうでしょうね(笑)。もちろん、私、メジャー路線も大好きで、「スキップ」は読書人生を変えた10冊の中の一冊ですから。

一番のお気に入りは「植物採集」。ネクタイを通常しないので、逆にネクタイにこんな意味があるのかという気付きの中、主人公の女性の取る行動に対して、理解不能85%。そして、残り15%を味わう、余韻、不思議な感情。切なさと馬鹿馬鹿しさって紙一重、なのかな。

その他、途中で終わる感じの短編ばかりですが、逆に考えれば贅沢です。だって、自分で勝手に続きを楽しめるのですから。さあ、こんなご時世です、ゆっくり、のんびり楽しみましょう。

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