また、桜の国で:須賀しのぶ:ワルシャワ、ポーランド、戦争、歴史

「また、桜の国で」(036/2020年)

本当に知らないことだらけだ。でも、こうやって本を読むことによって、ほんの少しでも、ちょっとでも、知っていくことを増やしていかないと、生きている意味も、生きていく価値も無いのだなと実感。新しい知識との出会いに感謝の読書でした。

史実に基づいたフィクションです。主人公・慎はロシア(ソ連とは敢えて言わない)と日本人の「ハーフ」(って言葉も、そろそろこの世から排除したいですよね)の国籍は日本だけど、見た目は西洋人の外交官。第二次世界大戦開戦がまさにスタートしたころのポーランド、ワルシャワが舞台。

そもそもポーランドという国の歴史、ほぼ知らなかった。ワレサ議長がいた国、という程度の知識しかない…過酷な歴史。あのアウシュビッツがポーランドだったことも知りませんでした。ほんと、知らないってことは、恥ずかしいし、怖いことですね。

「ハーフ」の日本人という実に微妙な立場を通して語られるので、ある意味フラットな歴史観で読めます。最終的に、どこからも属することを拒まれる慎だからこそ、どこにでも顔を出すことが出来る。そこがフィクションの良いところです。最後に慎が取る行動は、ドラマチックです。決して派手な行動じゃないところが、沁みました。是非、この静かなる感動を味わってほしいです。

それにしても、戦争って、何なんでしょう。それを知るためには、もっと多くのことを知る必要があるのです。


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