デトロイト美術館の奇跡:原田マハ:絵画の凄さ

年間、文庫本で、小説ばかり、約150冊を読み続けているGGが、今年は読んだ本の読書感想文を書いていこうかと

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「デトロイト美術館の奇跡」(010/2020年)

絵画の持つ力って、不思議。昨年、ピカソのゲルニカを見た時も、確かに少しの間、動けなくなりました。感動じゃない。喜怒哀楽のどれともチョット違う。もしかしたら、家に飾りたいという超絶的な所有欲が、心と体を麻痺させ、不思議な気持ちにさせてくれるのかも。

原田マハ得意の、事実をベースに適度に、この「適度」が大事、エンタテインメント化した作品。その時の気配、雰囲気、情勢をフィクションとして作り上げた登場人物に乗せて、読者に、さりげなく、でも心の奥深くまで送り届けるテクニックは最高です。

絵画への思いと財政破綻という厳しい現実、相反する事象を見事に解決した奇跡をもたらしたのは、絵画の力。芸術の凄さは、こういう想像を絶する突破力を生み出すことなんですよね。

恥ずかしながら、デトロイトにこんな素敵な美術館があるとは知りませんでした。てことは、日本国内にもたくさんあるはず。絵画の良いところは、見るだけで、つまり超短時間でも楽しめるところですよね。もっと、生きているうちに、たくさんの本物に触れたくなる、そんな一冊でした。


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