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僕の好きな人が、よく眠れますように:中村航:この恋愛、どう思う?

「僕の好きな人が、よく眠れますように」(137/2021年)

こんなストレートな恋愛小説、久しぶりに読んだ。この勢い、一歩間違えば超バカップル物語で読むに耐えない。ただ「好き」を優先しているお調子者の話でしかない。もちろん、そう読む人もいるかと思います、深みの無い単純なラブストーリーであると。

しかし、なんだろう、何か読んでしまう、引き込まれる。主人公のキャラ設定が素晴しいのかもしれない。馬鹿なんだけどバカじゃない。いや、純粋な恋愛馬鹿だから納得できるのかな。

本作は女性の方に配偶者がいるパターンの不倫です。女性の読者と男性の読者では見方が違うところなのかもしれません。主人公に旦那から彼女を奪うという気持ちがあまり感じられないところ、どう思うでしょうか。旦那はいるけど、とにかく一緒にいることが出来れば良いという子供じみた思考をどう捉えるのでしょうか。

ラストは賛否があるところだと思いますが、私は肯定派です。これじゃないと、この恋愛の決着はつかないので。これしかないのです。これ以上の悦びも、これ以下の哀しみも、きっと無いと思います。甘い結末と言われるかもしれませんが、その甘さを感じたいのです。この恋愛、羨ましいです。

で、最後の東京タワーのシーン、映像化して欲しいな。ここだけで良い。妹は是非、伊藤沙莉にやって欲しいです。回る妹、見たいな。


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