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黒猫遁走曲:服部まゆみ:演劇化超希望!

「黒猫遁走曲」(97/2021年)

不思議なテンションの物語です。不安定の極み。これは演劇化を希望します。既にされているのかな?この滅茶苦茶な登場人物たちを、どのテンションで演じさせるのか、演じるのか。演出家と演者の力量が試されます。様々な解釈あるだろうな。

出版社の文芸部で無事に定年を迎え退職した寂しい女性の飼い猫が、妻を殺したイケメンだが売れる気配ゼロの役者の家に逃げた。この女性の狂気と男性の狂気を描いたお話です。

その他の登場人物もおかしな人ばかりです。今ひとつ意味不明な人もいたりして、視線が定まらない感じで物語は進行します。

最後にちょっとしたハッピーの予感をもって終わるんですど、この予感が正しくハッピーに向かうのか、更なる狂気の幕開けなのかは読者の解釈次第。服部作品を複数読んでいる僕としては、やはり後者かと思ってしまいます。もし、これを演劇でやるならば、演出家の意図で明確な解釈が提示されるので、そこも楽しみ。

そして猫です。猫は猫。犬に非ず、そして人の上に立つ猫。本作品の中で、猫だけでしょう、ちゃんとした「人物」は。

なので、小説としては不満足な人は多いかもしれません。ちょっと不安定過ぎるかもね。だから誰か、舞台にして欲しいな。

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