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ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~:三上延:ゆったりした雰囲気なのにどこか緊張感がある

「ビブリア古書堂の事件手帖 ~栞子さんと奇妙な客人たち~」(59/2021年)

遂に手を出しました。今から10年前にスタートしていたんですね。人気シリーズ1作目は静かなる立ち上がりといって良いでしょう。ある意味「不気味」でございます。

映画は2018年、黒木華なんですね。テレビドラマは2013年、剛力彩芽か。見た目は黒木だけど、中身は涼しげな剛力の方が良いかも。黒木の柔らかいイメージだとちょっと甘すぎるかもしれない。あくまでも一作目しか読んでない前提での印象だと、主人公・栞子はとても怖いです。得体の知れない感じ。そこが所謂ラノベを越えて支持された理由なのだと思いました。ラノベなので仕方ないのですが、イラストは…邪魔だな。

古本屋に持ち込まれる(過去に持ち込まれた)古書から、本に関わる人たちのドラマが展開し、そこに隠された秘密が明らかになっていくパターンです。登場する作品は、夏目漱石『それから』、小山清『落穂拾ひ・聖アンデルセン』、ヴィノグラードフ、クジミン共著『論理学入門』、太宰治『晩年』、梶山季之『せどり男爵数奇譚』。作品の内容を全く知らなくても楽しめるところが優しいです。過剰な解説があるわけではなく、もし興味があればこの先にどうぞお進みください的な穏やかなアプローチが良いのです。

なだけに、主人公の時折見せる「不気味さ」が刺さります。サブタイトル「奇妙な客人たち」ですが、彼女に比べればみんな普通です。ゆったりした雰囲気なのにどこか緊張感がある、実に巧みな作品だと思います。

お気に入りは『落穂拾ひ・聖アンデルセン』。読書好きにはたまらないネタではないでしょうか。ここに目を付けてくれて、ありがとうございます!って感じでした。



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