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午前零時のサンドリヨン:相沢沙呼:まさにデビュー作

「午前零時のサンドリヨン」(108/2021年)

デビュー作ならではの勢いというか圧迫感があります。文字を突き抜けてグイグイ押してくる感じ。作家の思いがそのまま伝わってきます。熱いな。まさにデビュー作です。

高校生の恋愛をベースにした。ボーイ・ミーツ・ガール・ミステリ、王道、類似作品、たくさんある奴です。とりあえずラノベではないので、そこはご安心ください(笑)。

主人公の男も女も、まあまあ面倒なキャラです。ただ他の類似作品と違うのは、女子をマジシャンとしたことだと思います。所謂魔法は使えません、手品のマジシャンです。この設定は、一種の魔法少女否定でもありつつマジック少女は存在するという、かなり癖のあるアプローチなんですよね。まあ、男の思いが熱くて、空回りして、ウザくて。ここはお馴染みテイストではありますが、デビューですから良いのです、許してください。

語られる謎は日常系ではあるのですが、そこにある自殺が絡んできます。他愛のない謎解きがいつのまにか人の生死に迫る、そんなダイナミックな展開が他の作品を凌駕しているポイントなのでしょう。

作家の相沢、仕掛けてきますよね。それは各種ランキングで評価された「medium」で証明されていると思います。油断させてズバっと斬る、ヤバいミステリです。

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