悪徳の輪舞曲:中山七里:悪徳弁護士の一撃
年間、文庫本で、小説ばかり、約150冊を読み続けているGGが、今年は読んだ本の読書感想文を書いていこうかと
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「悪徳の輪舞曲」(019/2020年)
「悪徳」弁護士、御子柴シリーズの4作目。本作から読み始めて、御子柴のことが気になったら、改めて「贖罪の奏鳴曲」「追憶の夜想曲」「恩讐の鎮魂曲」と読んでみると面白いかも。本作での奴の葛藤の意味が、最初から読んでいるとス―っと入ってくるけど、ココから始まった人にとっては、ちょっとしたミステリかもしれないですよね。その謎を解きたいならば、まだシリーズ作品が少ないうちに、読みましょう。
今回は、なんと、当の昔に縁を切った(切られた?)御子柴の実母の弁護です。財産目当てで、再婚したばかりの夫を自殺に偽装して殺したという容疑をかけられた母。法曹界では御子柴と母の関係は分かっているので、誰も弁護をしようとしない。仕方なく、当の昔に縁を切った(切られた?)の妹が御子柴のもとにやってくる。
「人殺し」の母と、人殺しの息子、その因縁と、クールで残酷な法廷でのロジカル・シンキング、この二つの相反する流れが交わる時、事件は解決するのですが、そのタイミングと手法が実に鮮やか。結末は、普通に読んでいれば、ある程度、途中で分かってしまいます。大どんでん返しとかを期待する人には不向きな作品かもしれません、でも、その結末にどう至るのか、最後の切り札をいつ出すのか、どこで法廷を一気に攻め込んで、勝利に導くのか、それも「悪徳」弁護士として。その一撃を楽しむリーガル・サスペンスです。
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