襲来:帚木蓬生:久しぶりに泣いちゃったよ
「襲来」(101,102/2020年)
元寇、あったな、鎌倉時代に。「神風」というパワーワードのせいで、逆にあまり印象のある「事件」ではなかったのですが、まさか、こんな苛烈な事件だったのか。対馬、隠岐があったから、日本の国は存続してるんだ。そして、日蓮がリンクしていたなんて知らなかった。
なんて大きな歴史のターニングポイントだったのか。改めて驚かされた。今になって知ることが出来て、本当に良かった。
そして、この大きな事件を、名もなき漁民。やっと平仮名が書けるくらいの普通の男、見助を中心に描いた帚木の筆の力に、久しぶりに泣いてしまいましたよ。日蓮の「目」となって動く見助、はたから見たら馬鹿正直なつまらない男だったかもしれません。好きになった女性のことも、「目」のために諦めてしまうほどの朴な奴です。でも、彼のその姿勢に、誰もが惹かれていくのです。
そして最後の旅路のシーン、もうヤバいです。涙腺、緩みっぱなしです。徐々に歩く速度が遅くなっていく見助。全ての任務から解き放たれ、最後の望み、日蓮様に会いたい、それだけのために…
見助ってキャラクター、非常に稀有です。強いわけでもない、賢いわけでもない。武士でもない、僧でもない、商人でもない。でも、輝いている。なんだ、これは。なんかジーザス・クライスト的な、底知れぬ力をもった神のような人間なのか。そんな気がします。
そして、見助、最後の願い、つまり遺言に託した内容の可愛らしさよ。涙腺崩壊です。
歴史小説も積極的に読むべきだなと改めて思いました。ああ、見助のような人生、素晴らしきかな。
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