見出し画像

ゴルゴダ:深見真:この加速感、良しとする

「ゴルゴダ」(16/2022年)

著者、深見、小説だけではなく、コミック原作やアニメ脚本も書く人なんですね。高速で展開していくスリリングな展開に最初は着いていけなかったのですが、慣れてくると、これ快感です、事件の背景とか、登場人物の理由を差し置いて事象が次々と進行していく。とにかく事件優先、この感覚は斬新でした。もっと読みたくなってきたところで終わってしまって残念でした。

リアルな自衛隊よりも少しだけ前向きな対処が出来る設定の世界での物語です。半島(北)から流れ着いた戦士たちを一掃した自衛隊の精鋭部隊の幹部が主人公、真田聖人です。なるほど、北と戦争する近未来テクノスリラーなのかと思いきや流れは急変、真田の妻が未成年の餓鬼五人に嬲り殺されるものの、なぜかその五人への処分が甘々だったという事件が勃発するのです。敵は北ではない、妻を殺した少年たちだ、という方向に物語は急変するのですが、そこから予想を超えた速度で展開していくのです。

少年五人を順番に惨殺していく真田と、それを殺人事件として、警察官として追う男の対決になっていくのですが、もう真田の強いこと強いこと。スパイ的な訓練もしていた真田は、早々に自衛隊を辞め、殺人の件を民事で訴えまとまった金を手に入れて、韓国に渡り公的な消息を絶ちます。その後、日本に潜入し復讐を始めるのですが、武力以外にも圧倒的な力を誇る真田の本当の狙いは何なのか、少年五人だけが真田の敵ではないことを読者は思いしらさせるのです。

続編、切に望みます!

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?