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コーラvs.ペプシのマーケティング戦争【ドキュメンタリー映画】

みなさんはコカ・コーラ派ですか?
ペプシ派ですか?


1980~1990年代にかけて、ザ コカ・コーラ カンパニーとペプシコによるコーラ界覇権争い、マーケティング競争が激化しました。これが「コーラ戦争」です。

世界的な飲料メーカーによるマーケ合戦、これでもかと言わんばかりの両社フルボッコ殴り合いをドキュメンタリー映画にしたのが『COLA WARS / コカ・コーラvs.ペプシ』です。2023年7月現在、Amazon primeで観られますよ。




コカ・コーラが発売されたのは1886年。日本は明治維新の真っ最中なので、そんな昔からコーラがあること自体が不思議な感覚になりますね。ともあれ当時からアメリカ国民に愛され、圧倒的なシェア率を誇る人気No.1炭酸飲料でした。

2位以下はと言うと、ペプシや私の好きなドクターペッパーなど”その他大勢”という勢力図だったため、後発のペプシはまずその中から不動の2位の地位を築くことを狙い、コカ・コーラに対してケンカを吹っかけていきます。

from abc news

まず行ったのが、ペプシの挑戦(ペプシチャレンジ)というキャンペーン。

見えない状態でコカ・コーラとペプシの2つをテイスティングしてもらい「美味しかったのはどっち?」と質問していく、競合を名指しにした中々に鬼畜な比較広告キャンペーンです。

これは実際に、ペプシと答えた人の方が多かったそう。熱狂的なコカ・コーラファンを自称する人たちにもチャレンジしてもらい、それでも同じ結果に。(ペプシの方が甘いので、1口だけ飲むならペプシの方が選ばれやすかったという説もある。)

お行儀の悪さはさておき、この施策が凄いのは「ペプシ or コカ・コーラ」の2択にしたことで、「その2つこそが二大炭酸飲料」というイメージが一般消費者に植え付けられたことです。ペプシは2位以下の中から頭1つ飛び抜けた上に、一気に二大コーラの片翼に落ち着く結果となりました。

コカ・コーラも負けていません。ペプシが2位に収まろうとするなら、自分たちで2位の新商品を作って3位に蹴落としてやる!と応戦。そうして登場したのがダイエット・コーラです。肥満が問題になりがちなアメリカ国民のダイエット意欲を掻き立てます。

ダイエット・コーラは発売後わずかな期間で、一気にシェア率が第3位に。ペプシはもっと前からダイエット飲料を出していたものの、ここはコカ・コーラに軍配が上がりました。

ペプシは次に、スターをCMに起用することで反撃していきます。選ばれたのは『スリラー(Thriller)』を発表し、人気絶頂だった頃のマイケル・ジャクソン。「ビリー・ジーン(Billie Jean)」のペプシ替え歌バージョンを500万ドルで口説き落とし、マイケル本人歌唱・本人出演でCMを作り上げます。

ペプシのマーケティング戦略がとにかくブッ飛んでいて面白い。

大体やり尽くしたんじゃないか?と思いますよね。

まだ終わりません。さすが、アメリカの会社はスケールが違います。

次は「宇宙初の炭酸飲料」の称号を巡って、コーラ戦争の舞台は宇宙空間へと移っていくのです。宇宙でどう炭酸を生成するか、どう冷たくするか、容器はどうするのかなど、もちろんNASAとも交渉しながら進めるような大真面目な宇宙開発プロジェクトです。

「コカ・コーラ宇宙ディスペンサー」
(流体一般バイオプロセス装置、FGBA-1)

これまでのマーケティング競争というフィールド外での活動に見えますが、その話題性から両社ともに大きな宣伝効果を上げる結果となりました。




せっかくなので、ほかの映画と絡めた話を最後にしたいと思います。

コカ・コーラとペプシでは、映画に出てくるのはコカ・コーラの方が多い、というかペプシをあまり見かけないイメージありませんか?

コカ・コーラは炭酸飲料界で1強だった時代がかなり長かったこともあり、ハリウッドと繋がりが深く、映画におけるプロダクトプレイスメントもほぼ独占状態にありました。

プロダクトプレイスメント
広告手法の一つで映画やテレビドラマの劇中において、役者の小道具として、または背景として実在する企業名・商品名(商標)を表示させる手法のことを指す。

参照:Wikipedia
映画『ウエストサイド物語』より
映画『E.T.』より
映画『タクシードライバー』より

注意深く見ていると、映画に登場する飲み物のいかにコカ・コーラが多いことか。(『パルプ・フィクション』のスプライトと『フォレスト・ガンプ/一期一会』のドクターペッパーはレアケース)

そんな事実に、ペプシ陣営も気付きます。当然、黙っていません。

そこで、自社製品を登場させるのに選んだのがみんな大好き『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』という訳なのです。

映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー PART2』より

ただ登場させるだけではなく、未来に行ったマーティが飲む未来のペプシですから、パッケージも新しく、なんとその名も「パーフェクトペプシ」に。芸が細かいですね。

昔観ていた私も子供ながらに「マーティはコーラじゃなくてペプシが好きなんだな」って思っていたので、これでようやく納得しました。まさかコーラ戦争という壮大な”オトナの事情”があったとは…




おわりに

以上のような話がより詳しく観られますので、ドキュメンタリー映画『COLA WARSコカ・コーラvs.ペプシ』ぜひ鑑賞してみてください。

▶▶Amazon prime『COLA WARSコカ・コーラvs.ペプシ』

・ブランディング戦略
・マーケティング戦略
に興味のある方、シンプルにコーラ好きの皆さんにオススメです。尺も90分と観やすいです。

劇中のジャーナリストの発言がとても印象的で、このコーラ戦争はプロレスみたいなものなんだそうです。お客さんから見える所ではボッコボコに殴り合うけど、ロッカールームに戻ったら握手をして大金を分け合うと。

コカ・コーラもペプシも話題を集めたことで、炭酸飲料のマーケット規模が大幅に拡大し、両社とも売り上げをかなり伸ばしています。どっちが勝った?というか、どっちも勝ったのがコーラ戦争なのかもしれません。

暑いんで、コーラでも飲んで乗り切りましょう。ではまた次回。

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