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観る避暑:A24のドキュメンタリー『ディープブレス 呼吸、深く』で海底へ
暑い!いやー暑いですね。
こんな時は涼しい映画が観たくなるもんです。
新進気鋭のA24から「ドキュメンタリー?珍しいな…」と思ったのと、Netflixでのサムネイル(上記の女性が水中にいる画像)がなんとも素敵だったことに惹かれて鑑賞しました。
そしてかるい気持ちで見始めた5分後に、私は背筋を伸ばしたのです。
「あ、これは本腰入れて観るやつだ」
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冒頭5分の強さ、みなさんにも是非これを味わっていただきたい。
水の中や暗いのが苦手、観る人を選ぶかもしれないA24×Netflixのドキュメンタリー映画『ディープブレス 呼吸、深く』は、「死についてどう思う?」というかなり重めなクエスチョンから始まります。
聞かれているのが今作の主人公、アレッシア・ゼッキーニ。酸素ボンベなどの呼吸を補助する機材を一切着けずに、無呼吸状態で潜る深度を競うフリーダイビングの選手です。
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競技はいたってシンプル。
一番深くまで潜った人の勝ち。
海面で呼吸を整え、潜り、自分の状態を見極めながら、可能な限り深くまで行って戻ってくる。海面から顔を出し、審査員に向かって「I’m OK.」と告げ、意識がハッキリしているかなどをその場で審査。ホワイトカードが出れば合格で記録成立、レッドカードが出れば失格となります。
無酸素状態で自分の限界に挑む競技なので、途中で失神(ブラックアウト)する選手もいます。劇中で詳細な説明もありますが、無酸素状態での失神は脳の全機能が停止するらしく、失神後1~2分の間に正しい処置を行わないと脳に障害が残ることもあるのだそう。
最悪の場合、死に至る危険なエクストリームスポーツです。
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競技の特性上、安全面への配慮で水中には救助のダイバーが控えています。そんなセーフティダイバーの1人が、今作のもう1人の主人公スティーブン・キーナンです。
整理すると、『ディープブレス 呼吸、深く』は、自身の限界に挑むフリーダイビング選手と、それをサポートし安全性を担保するセーフティダイバーの2人を主軸としたドキュメンタリー映画という訳です。
ちなみに私は、この映画の鑑賞前からフリーダイビングという競技のことはなんとなく知っていました。
![](https://assets.st-note.com/img/1689857801320-InR44sq2Lx.jpg?width=800)
(C)1988 GAUMONT
大好きなんですよね、この映画。
リュック・ベッソン監督の『グラン・ブルー』。実在するフリーダイバーのジャック・マイヨールを描いた映画でした。
ジャックのライバルとして登場するのが、若かりしジャン・レノが演じるエンゾという男。『ディープブレス 呼吸、深く』の主人公アレッシアのお父さんもエンゾというお名前で、フリーダイビングという競技といい、主要人物の名前の一致といい、子供のころから好きだった『グラン・ブルー』との共通点がまた妙に印象的です。
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(C)1988 GAUMONT
ちょっと脱線しますが、この時ジャン・レノは40歳くらい。『グラン・ブルー』と、その後の『レオン』でブレイクし、ハリウッドからも仕事が来るようになります。
そんな時期に1作目の『ミッション:インポッシブル』にも出演してたんですよ、みなさん覚えてますか?トム・クルーズがワイヤーに吊るされて地面スレスレで止まるあの有名なシーンで、トムを上から吊っていたのがジャン・レノでした。
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『グラン・ブルー』ではジャックとエンゾが競うように記録を更新していきますが、『ディープブレス』のアレッシアにもライバルがいて、そんなところも両方の作品の素晴らしい共通点だと感じました。
映画を観るまで知りませんでしたが、そのライバルは廣瀬花子という日本人の選手。彼女の存在もこの映画にとって非常に重要でした。
海外のドキュメンタリーを観ていて、日本や日本人にフォーカスされるとやっぱりどこか嬉しくなる。
映画を観るまで廣瀬さんを存じ上げませんでしたが、世界で活躍する日本人の存在をまた1人知ることができたのも、この映画を観て良かった理由の1つです。
A24×Netflixという珍しいけど傑作の予感しかない組み合わせにも関わらず、注目度が低く日本語の予告編すらない圧倒的冷遇で哀しい。事実、とても良い映画なのに。
そんな訳でドキュメンタリー映画ファンとして、ここにこの映画を推薦するものであります。1人でも多くの方に届きますように。ではまた次回です。
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