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大型案件を獲得するために提案書をやめませんか?

大型の案件を獲得するには、事前リサーチ、なかなかコンタクトできないアウトバウンド、緻密なヒアリング、精巧な提案書、お客様の長い検討期間を経て、ようやく受注ができる。
といったイメージを持っていらっしゃる方が多いかと思います。

長い時間がかかるという点で間違いはありませんが、なぜ長い時間がかかるのか、何に時間を要しているのかを逆引きで考えることで、一般的に常識とされていることを省くことができます。

今回はその最たる例である“提案書”についてお伝えしたいと思います。

ドキュメントを提示しない営業は詐欺

「提案書をやめろ」と言ってるのに、ドキュメントを提示しない営業は詐欺って、そもそもお前のnoteのタイトルが詐欺だろ!と言われてしまいそうですが・・・
提案書はやめろと言っていますが、全てのドキュメントを提示しないとは言っていませんw

ドキュメントで何も約束をしない営業なんて、絶対に嘘を付きますし、言った言わない論争で煙に巻いて逃げますからね。
信用してはいけません。

ただ、ここで提起したいのは営業が最終的に提出するアウトプット=提案書という構造を改めて考えてみてほしいということです。

基本的に営業が提案書を提出するということは、提案できる土台が必要であり、そのための情報をお客様からヒアリングという形で提供してもらう必要があります。

お客様からヒアリングにて知り得た情報に対して、自分たちが何をできるか提案書という形で提示します。

ここでお客様の目線で考えてみましょう。
大型の商談となると、総じて最終決裁者が商談の細部まで参加することは稀で、いわゆる検討メンバーが選出され、その検討メンバーがサービスの選定を行い、決裁者がGoサインを出すという構造が一般的です。

※そのあたりは以下noteで詳しく解説しています。

ゆえに、検討メンバーは複数社から提示された提案書を自社で決裁を取得するための上申書に変換する作業が発生するのです。

提案→上申→決裁の流れを単純化した図

上申書を見たことがない営業

さて、提案書が上申書に変換されていることはご理解頂いたと思いますが、実際に上申書を見たことがある営業の方はどの程度いらっしゃるでしょうか。
間違いなく見たことある人が少数派だと思います。

もっと言えば、様々な上申書のパターンを見たことがあり、
通りやすい上申書、通らない上申書の共通項を知っている営業なんてもっと少ないわけです。

共通項を全部書きたいものの、大人の事情もあるので全ては書けませんが、大きなポイントとしては3点ほどあります。

①正しいテーマや上段、目的の設定

これはシンプルに、大きな案件(SaaSで言うと年間1000万円Upper)の提案においては、負の解消(マイナスを0にするための「業務効率化」や「属人化の解消」など)がテーマとなっている上申書の通過率は圧倒的に低いわけです。

これを自分自身が上申する立場で想像してみましょう。

「〇〇の業務を効率化するためにXXというシステムを導入したいです!期待される効果としては、YY時間の削減、すなわち人件費に換算してZZ円削減ができるんです!」

と説明したときに高確率で以下のカウンターが返ってきます。

「じゃあ、その浮いた時間ってどこに使うの?どこかで回収しないと元取れないよね。人件費減るって言ってるけど、どこかで回収しないと業務時間に暇ができるだけで回収できないよね?」

と。

毎月、当該業務の担当者がえげつない残業をしており、
システム投資額<残業代
という構造であれば「効率化」「属人化の解消」で良いと思いますが、こんなケースは稀です。

つまりは、上申書のメインテーマや目的としては、
「効率化」や「属人化」が解消された先にある「新しい世界」を設定するべきです。

②導入や利活用がステップ分けされ、その上でのスモールスタートになっている

もう、ここが一番重要と言っても過言ではありません。大きな案件ほどこれが重要なのです。
旧来のITベンダーはとにかく大きな提案、大きな初回受注額をひたすらに目指す傾向があるのですが、2023年においてはそのマインドは完全に古いです。
特にSaaSであれば、サブスクリプションであるため、初回から大きな金額を発注する必要がないのです。
一例として、以下のようなステップです。

ステップ1:基本設定の実行(→基本料金分の発注)
ステップ2:事業部に展開(→追加利用分の発注)
ステップ3:全社に展開(→更に追加分の発注)
ステップ4:別機能の利用(→オプションの発注)

考えてみてください。初期設定をするだけの段階で、全社利用分のライセンスっていらないですよね。
「初期設定時から全員分のライセンスが必要になります」っていうベンダーが稀にいらっしゃいますが、それは詭弁ですからね。
初期設定に必要な最小限のライセンスがあれば良いんです。
使うタイミングで必要な分を追加できるのがサブスクリプションですからね。

ただし、ここで注意点です。

大きな目的が存在しないスモールスタートはスモールなままエンドする
ということです。

PoCだとかスモールスタートという非常に使い勝手の良い言い訳がありますが、それは裏返しとして、「その小さい部分のみしかコミットしない」と捉えても良いかもしれません。

ここで改めて重要となるのが、前述の“正しいテーマや上段、目的の設定”ですこれがあれば、小さい部分のみのコミットには陥らないのです。

③検討メンバーの熱量

最後に精神論かよ、、、と思うのですが、これがとても重要です。
上申に成功する資料には、総じて検討メンバーの熱量がこもっています。

提案を受けたベンダーの言葉を受け売りにして、それを切った張ったした資料で決裁者の心は動かされるでしょうか。

上申書は明確に意思決定を迫るものであるため、意思決定を引き出す思い、熱量、コミットが必要となります。
ロジックももちろん大切ですが、「本気でやる」気持ちが必要なのです。

様々なプロジェクトにおいて、ベンダー任せのプロジェクト推進は絶対に上手く行きませんからね。

自分たちが推進をする!そのサポートを全力で支援してくれるベンダーを選定する!
という熱量が必要です。

上申書を共同作成できるようになるために

残念ながら、これらの内容を頭で理解していても、実際にできるようになるスキルは一朝一夕で身につくものではありません。

しかしながら、考えてほしいことがあります。
営業が提案をする回数と、お客様が上申をしたことのある回数を比較したらどちらが多いでしょうか。

間違いなく営業が提案する回数だと思います。
つまり、「様々なお客様で色々なご支援をさせていただく中で、どのように上申したらうまくいくか、という共通項があるのですが、ご興味ありますか?」とシンプルに聞いてみましょう。
(そのために必要な内容は自分で抑えておく必要があります。)

そうすることで、どうやって上申しようかと悩むお客様に治して、確実な上申をし、プロジェクトを成功に導くためのパートナーという立ち位置を取ることができるのです。

ぜひ、売り込む人から、真のパートナーという立ち位置を取るべく、営業の方々は日々の動きを今一度考え直してみてはいかがでしょうか。

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