SalesforceとZuoraの外資系IT2社で30ヶ月以上連続で予算達成した商談マネジメント術
今回のnoteは、営業アドベントカレンダーという、営業の精鋭の方々がクリスマスに向けて毎日1記事ずつUPするという企画の1つでございます!
12月2日はジェイさんが、スタートアップセールスについて。
12月3日は佐藤亮さんがエンタープライズセールスについて。
亮さんにいたっては、Salesforceの関西支社という全く同じ職場だった先輩なので、凄くやり辛いですが、気にせず行きます。
なんせ、12月4日はHIPHOP界の帝王であるJay-Zの誕生日ですから。
じゃあ、今日は僕しかいないでしょう!
という気合で、本日はDJ141こと、石井が担当いたします。
ちなみに、私はスタートアップセールスも、エンタープライズセールスも、
営業マネージャも経験がありますが、今回はどんな立場の方でも使える内容となっております。
今回のテーマ
今回は、せっかくなので私が練りに練った秘技を公開しようと思います。
その名も、「営業が予算を達成し続けるための商談マネジメント術」です。
実は、世に出回る営業のノウハウって、
1つの商談に対して、どの様に受注まで進めていくかという議論に寄っているんです。
もちろん、コレはコレで重要ですし、過去に私が書いている記事もその様な内容です。
ですが、営業をされている方はもちろん、営業マネージャや営業本部長の方が、1つの商談だけ追うなんでことは当然無いはずです。
複数の商談を同時進行で管理し、
1年や、半期、四半期、もしくは毎月の決められた予算を達成するのが営業の仕事です。
しかし、営業のノウハウで語られるのは単体の商談獲得の話。
複数の商談のやり繰りをし、予算を達成し続けるノウハウって世に出回っていない。
じゃあ、営業アドベントカレンダーをキッカケに、私が最初に書いてしまおう!という流れでございます。
そして、この商談マネジメントのことを、
売上予測であったり、Forecastと言ったりします。
これ以降はすべて、Forecastでワードを統一してお話します。
私がForecastを語る理由
現在、私は起業して会社を経営しておりますが、
直近2社の職歴はゴリゴリの営業が強い外資IT企業で働いており、
どちらでも上位1%以内のトップセールスを経験しています。
「過去の栄光にすがる傾向」っぽくなってしまいますが、
「口からでまかせ」では意味ないので、少し私の過去の営業としての成績を書かせてください。
Salesforce.com
→中小企業(SMB)担当
→18ヶ月(実質20ヶ月)連続で予算達成(多分、史上最長の連続記録)
→2018年は日本最速で年間予算達成、上期達成率240%
→29歳で営業部長に昇進
Zuora
→エンタープライズ企業担当
→全四半期で予算達成
→上期予算達成率210%で世界1位
→世界最速で年間予算達成
ただ成績を自慢したいのではなく、
Salesforce時代は月単位で、Zuora時代は四半期単位で、
常に連続で予算達成し続けているところに着目いただきたいです。
これが、まさしく今日お伝えしたい、Forecastのテクニックなのです。
連続で成果を出し続ける。これがForecastの真髄です。
もちろん、SMB担当だからとか、エンタープライズ担当だから、とか関係無しに、成果をコンスタントに出し続けることが重要です。
この記事の内容を理解して実践できれば、きっと日本で1%以内の優秀な営業になれることでしょう!
そもそもForecastって何?
さきほど、売上予測と言いましたが、
多くの企業が毎週月曜日に実施している営業の案件ミーティングそのものが、Forecastにあたると考えてください。
こんな感じで案件毎の確度と金額を確認して、
「今月は◎の案件2件を獲得して300万円やります!!」
みたいな宣言をすると思います。
これをForecastと呼びます。
営業担当なら、自分の案件をForecastしますし、
営業マネージャは、チームメンバーのForecastを元にチーム全体でForecastしますし、
営業本部長なら、営業マネージャから上がってきたForecastを元に本部全体でForecastをすることになります。
良いForecastに必要な2つの要素
この、Forecastってどのくらい大切かご存知ですか??
例えば、上場企業なら、「2019年度の売上予測はXX億円です!」
などと、市場に約束をしますが、これがまさしくForecastです。
このForecastに対して、進捗が良ければ株価が上がるし悪ければ下がる。
そのくらい重要度の高いものです。
上場企業でない場合も、投資家や銀行に対しての説明があります。
とにかくForecastって大切なんです。
その上で、良いForecastに必要な要素は何か・・・と聞かれた場合、
私は以下のように答えます。
ここで、
①予算を超えている
は理解いただきやすいと思いますが、
②報告の精度が高い
は結構ないがしろにされているケースが多いと思います。
例えば、100万円の予算に対して、「100万円やります!」と宣言し、
蓋を開けてみたら200万円の倍の達成をしていた場合。
結果としては200%達成の素晴らしい数字なのですが、
Forecastの観点からすると、誤差100%という、とんでもない精度の低さになってしまいます。
この様な状態は、予算達成率の観点でみたら200%ですが、
Forecastという観点から見たら50点な訳です。
もっと言うと、商談自体を自分でコントロール出来ていない証拠です。
仮に達成率200%であっても、それはラッキーによるもので、実力によるものではないと評価して良いと思います。
あ、ちなみに、予算100万円に対して、
100万円と宣言したのに50万円しか数字上げてこない人は、
それこそ論外だと思ってください。
一般的なForecastの管理方法
Forecastを管理する方法として王道的なのは、
ABCや、◎◯△☓で管理する方法です。
しかし、どうでしょう。
企業毎に違うと思いますが、
Aの基準は?
△の基準は?
と聞かれて、全員が即答できないようであれば、
その基準は何の意味も成していません。
無駄なので、今すぐ辞めたほうが良いと思います。
じゃあ、SalesforceやZuoraではどんなForecastでやっていたの?
というと、こんな感じの種別で報告していました。
この3種類に案件を当てはめて、報告をしていきます。
・Best Case
→すべてがプラス方向に進めば到達する金額
・Commint
→死んでもここまで持っていきますという金額
・Worst Case
→すべて最悪の方向に進んでも確保できる金額
せっかくなので、先程の画像を使ってForecastをしてみます。
Worst Case:300万円
-A株式会社_新規開拓_100万円
-B株式会社_追加発注_200万円
Commit:400万円
-Worst Case:300万円
-F株式会社_紹介案件_100万円
Best Case:900万円
-Commit:400万円
-C株式会社_追加発注_50万円
-D株式会社_新規開拓_150万円
-E株式会社_追加発注_300万円
こんな感じになります。
ここでポイントとなるのが、
Worst Case→Commint→Best Caseと、
すべて実際の商談の積み上げになっている点です。
ここで、優秀な営業さんからはこんな質問が飛んできそうです。
「このForecastって、最終的に価格交渉が入った時に誤差が発生すると思いますが、それは含んで考えるんですか?仕方ないものとして誤差を許容するんですか?」
答えは、
・商談初期:大体の狙った金額
・クロージング段階:価格交渉を勘案した金額
をForecastするのが一般的です。
つまり、商談のフェーズが進むにつれて、
受注予定金額の精度も上がっていくイメージです。
(フェーズの説明はコチラへどうぞ!)
ただ、このWorst Case,Commit,Best Caseの管理だけでは心許ないので、
私は独自の分け方をしてForecastをしていました。
今までひた隠しにしておりましたが、今日、ついに公開いたします。
私のForecast方法
私のForecastの特徴としては、以下3点を徹底していました。
・絶対に予算以上でForecastをする
・Forecastした数字を絶対に下回らない
・Forecastの精度は+5%以内
自分で言うのもアレですが・・・
ここまでのForecastをしてくる部下がいたらどれだけ楽なことでしょうか・・・www
そんな冗談はさておき、私がこの3点を徹底するために行っていた独自の案件管理方法は以下の通りです。
先程の3つの分け方よりも、
現場の営業感がある分類になっていますよねw
①基礎ライン
→毎日家で寝てても受注してしまう案件
②コミットライン
→普通にやってれば受注できる案件
③入れ替えライン
→コミットがヤバくなった時に入れ替えする案件。
主に、来月や来期予定だけど確度の高い案件をここに入れる
※そのまま推移すれば、来月や来期に基礎ラインに変わる
④頑張るライン
→普通にやっていたら50%以下だとおもう案件
⑤捨てるライン
→どうやってもキツイor当て馬案件
※ここには入れていませんが、案件発掘作業も平行して実施することをオススメしております。
私はこの5段階で案件を把握しながら、
常にどこに自分のリソースを投下するのか考えていました。
自分のコミットラインが崩れそうになった際に一番最初に行うのは、入れ替えラインの高確度案件を前倒しするという選択になります。
元が高確度の案件なので、前倒しは非現実的なバックアッププランではないのです。
その上で、頑張るラインに注力をします。
捨てるラインの案件をジタバタ対応をする必要は全くありません。
また、案件自体のフェーズというものはあまり意識をしておらず、
それよりも案件自体の精度を常に気にしていました。
そちらについては、過去のnoteに記載があります。
MEDDICとChampionの項目だけまた見てもらえれば幸いです。
自分のリソースをどこに投下するか
ちなみに、皆さんならどの順番でリソースを割いていきますか?
多くの営業の方は、
今すぐ受注できそうな案件、
つまり①から順にリソースを投入していく習性があります。
目の前のニンジンに飛びつくと表現してもいいでしょう。
しかし、これは最悪の自転車操業に陥るので私はオススメしていません。
そもそも、毎日家で寝ていても受注できる案件にリソース投下の必要もありませんし、②のコミットラインも、普通にやっていたら受注できるのであれば、優先順位を上げる必要はありません。
私の場合、③や④の案件を集中的に対応し、
⑤は放置、①も優先順位を落とし、②は適度に対応をします。
よくある、重要度と緊急度のマトリックスで分類すると、こんな感じになります。
皆さんの周りにも、常に忙しそうにしていて、頑張っているけど、
イマイチ成果が出ていなかったり、成果は出ているけどいつも自転車操業感が出ている人ってきっといますよね?
そんな方たちは、ここの優先順位が間違っていて、
③や④、そして案件の発掘作業が後回しになっているから、いつも後手後手にまわり、忙しくなってしまっているのです。
ぜひ、一度この順序に入れ替えてみてください。
エンタープライズでもSMBでも同じです。
エンタープライズの場合は、この作業を月単位で実施する。
SMBの場合は、この作業を週単位で実施する。
その違いだけです。
まず、自分のスケジュール帳に、③入れ替えラインや④頑張るライン、そして案件発掘作業を最優先で埋めていきます。
そして、空いたところで②を埋める。
スケジュールもパンパンに埋めず、緊急対応のバッファも常に取れるくらいが良いです。
要するに、①の基礎ライン、②のコミットライン、⑤の捨てるラインなどの、やらないことをキッチリ決めてしまえば、仕事自体も減るので時間に余裕を持って仕事をすることができるのです。
もっと簡易的にあらわすとこんな感じでしょうか。
このようにやらないこと、ゆるく対応することを決めると、
余力がうまれ、その余力を本来頑張るべきところに投下することができるようになります。
すると、少し先を見据えた活動ができるようになってきます。
そして、ここが最大のポイント。
入れ替えラインが来月(もしくは来期)の基礎ラインとなり、そして新たな案件発掘を行うという循環が生まれます。
常に来月や来期に向けた活動を実施するという、最高の循環が出来上がります。
こうなれば、連続達成は必然のものとなります。
案件発掘はターゲティングの精度と比例する
何度でもお伝えいたしますが、ターゲティングは死ぬほど重要です。
案件発掘は適切なターゲティングがあって、初めて発掘が可能となります。
ここにどれだけ時間を使うかですべてが決まります。
常に考えるべきことは、
・正しい顧客に
・正しい価値を訴求する
この、正しい顧客=買うべき顧客を見つけるのが、ターゲティングです。
今買いそうな顧客を探すことではありません。
買うべき顧客に正しい価値訴求をしたうえで、
「今買ってもらう」のは営業の仕事の醍醐味ですからね!
ターゲティングについては、過去のnoteで暑苦しく語ったのでそちらを参照いただければと思います。
まとめ
ここまで、大分長くなってしまったので、
内容をまとめておきます!
①Forecastという売上予測の概念を把握しよう。
良いForecastは、
予算を超えており、誤差が10%以内であること。
②案件の種別は5パターン+案件発掘で考えるのがオススメ。
・基礎
・コミット
・入れ替え
・頑張る
・捨てる
・案件発掘
③連続で予算を達成し続けるためには、常に自分のリソースをどこに投下するか考えること。
基本的に、目の前の商談に飛びつくのではなく、少し先の案件に目を向けて、そちらにフォーカスをしましょう。
(頑張るライン、入れ替えライン、案件発掘等へフォーカス)
④最高の循環を作り出そう。
入れ替えライン→(来月や来期の)基礎ライン→案件発掘→入れ替えライン・・・
⑤案件発掘はターゲティングの精度と比例する
常に、買いそうな顧客ではなく、買うべき顧客を探し続けよう。
おまけ:成約率は無意味説の理由
私は過去に営業の成約率というKPIは無価値だと言ったりしています。
これは、Forecastの話とそのままつながっています。
なぜなら、基礎ラインやコミットラインに設定した商談はほぼ100%で獲得する必要がありますが、捨てるラインに設定した商談は成約率0でも良い訳です。
逆に、今月受注です→ダメでした→今月受注です→ダメでした
とズルズル延伸を繰り返して受注さえしていたら、受注率は向上します。
ただ、Forecastの観点からは精度が低すぎ、全く意味をなさないことを理解いただけますでしょうか。
要するに、成約率はどうでも良くて、それよりもForecastの精度がすべてを物語る。ということです。
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