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【雑記】曖昧月記:07 デエビゴの悪夢を楽しむ辺り、不眠を治す気はないのかもしれない。【24/06/02】

 前回までのあらすじ3行!
 1.実家はnotジャパリパーク(重要)
 2.担当医公認毒家庭育ちの名誉称号
 3.セボンスターで夢を1つ叶えた

 おはよう、こんにちは、そしてこんばんは。
 迷昧捺です。皆様いかがおすしですか。
 お寿司食べたい。最近スーパーで400円のサーモン丼を「コスパだけじゃ生きていけねえ!!!」と思い切って10%引きで購入、食した者です。生魚は健康に効く。

 これを書いてる私はもう曖昧月記をどうやって書いてたか覚えてないよ、ほげえ~と思っている私なので、多少変なことを書いても許してください。

 今年も半分終わりましたが何卒よろしくお願いします、何もできていません。戒め。去年の創作のまとめはおろか、創作活動そのものもほとんどやってな……そんなことないよお!!! 目に見える成果があんまりないだけで。悲しいね。これではクリエイターではありません、ターです。かろうじて慈悲でターを残しました。何をする人だと言うのか。
 そんなところで曖昧月記は第7回目。飽きてたなんてそんな、違うそんなことないんです。書くことが決められなくて。ということで今回もさっさといきましょう。

 心のシモ・ヘイへさんは絶好調です。もはや近づくもの全てを撃ち抜かんとする意欲溢れる狙撃手……ですが、まあ彼も人を殺めたくないのが本心でしょう。本家リスペクトしたくなった心のシモ・ヘイへさんは本物のシモ・ヘイへさんじゃない別の何かでございます。

 ところで、過去の曖昧月記を読み返して、見出しと目次が見にくいなクソとこの記事を作っている時の私は悪態をつきたくなったらしいので、今回試験的にこの目次表記を取っております。
 次に執筆する時の私が納得してくれたら、しばらくはこの形で書いていくと思います。

 なお、ここまでほぼ失敗した下書きをコピー&ペーストして誤魔化しております。


最近の筆者周りのこと

 ■近況報告

  ・仕事が決まったと思ったら半年経たずにクビになった鬱病もどきの話

 というわけで。前回の曖昧月記では職探ししてる状態だったと思いますが(多分)、あれから細々と正社員をやって気づいたらクビになってました。

 ……ねー。クビになって、ねえ。

 おかしいだろ!!!
 人生で2度も! しかも「社会人生活(※大学生活を含めていません)4年ちょいなのに入社半年経たずに正社員をクビが2回目のやつ」がこの世にいていいんか!?
 

 驚きのクビ(自主退職扱い)です。どうしてこんなことに。
 まあ、恐ろしく恐ろしいモラハラ、パワハラ職場でして、辞めたことは全く後悔はないですね。上司に半年ずっと手柄取られて、年下にはいいように使われ、管理職らからは舐めプサボリ女にしか見えなかったでしょうし。
 バイトに降格したら雇い続けてもいいと言われていましたが、ただでさえ給与1桁だってのにそこから減給って……誰がこれ以上働くかってんだ。絶対に嫌だね。ふふふ。ずっと生活費赤字で精神的にきつかったのもあります、秋に貯めた貯蓄が冬の暖房費に消えました。低月給北国住まいの定めです。でも前職は給与中抜きとか税金未払いとかもありましたからね。よくもまあ、あれで企業を名乗っていたものです、誰でも社長になれるってあながち間違った文言でもないのですね。

 ついでと言っては何ですが(Xで言ってたけど)。
 迷昧捺、鬱病になりました。ドンドンパフパフ。
 ギリ健で耐えてたけどねえ、ギリ鬱です。会社くんにぽっきり折られちゃったねえ。新卒の時にも似たようなことになってたのですが、眠れないのに起きられない、食べられないのに吐いてお腹を下し続ける、手が震えて化粧できない、怖くて外に出られない、足が固まって玄関で靴を履けない、無力で泣き喚いて暴れてパニックになる……いやはや、久々に味わいましたね。新卒の時の気持ちを。

 ただまあ、主治医と話し合った結果、正式に鬱病が確定しているわけではないです。何かいろいろ、精神状態が複雑なものらしく、明確に鬱!……ということではないとか何とか。
 「限りなく鬱っていうか鬱なんだけど、鬱って確定させて鬱の治療を始めたら君の場合は鬱以外の症状が前に出て逆にしんどくなると思う。環境由来の発達障害もあるし他の病気もあると思う、正直いろんな症状が多重に折り重なってて、どこか1つを集中して治療したら君は余計に悪化して死にたくなるんじゃないかな。だから汎用的な対処療法しかできない。」by主治医
 よって、今後も恐らく飲むのは眠剤のみです。睡眠を保証する代わりに夢見がバチこり悪くなると噂のデエビゴちゃんだけです。

 迷昧捺は元からめちゃくちゃ夢見がぶっ飛んでいて、夢にストーリー性こそあるものの内容が基本酷い。
 ・なぜかタヒに続ける
 ・歯が全部抜けて(夢の中の時間が進むごとに抜ける)血まみれになりながら仕事する
 ・寝ぼけて自分の頭皮と顔面を鋏で切り落とす
 ・知人を皆ゴロしにして、生き残りに「次はお前をコロしに行くからな」と宣言して刑務所で自サツする。
 ・見知らぬ女子供と猫を包丁で捌いて食う
 ・仕事でミスをしたりミスを自分のせいにされて追い出される
 ・友達に嫌われたりフォロワーに幻滅されて大勢から責められる
 ・現実と全く同じ1日を過ごす(これに関しては大体数ヶ月から数年後の未来の光景を見ていることもあります、時々生活してて「あ!これ夢で前に見たぞ!」ってなります。)
 一部抜粋してこれです、あまりにも酷い。ので、悪夢耐性はまあまああります。カウンセラーさんと「その夢で気分悪くならないの?」「ならないですね〜。昔からずっとこんな感じです」「そ、そっか〜……^^;」ってやり取りが記憶に新しいです。
 残念ながら幸せな夢が全く記憶に残らない……幸せのインパクト薄いんじゃないの?

 ちなみにデエビゴ服用後の夢で覚えてる範囲のものは以下です。
 ・チカチカしたビビットカラーの電光掲示板に眼球を擦りつけて光の粒と一体化する(自分の体が粒子に分解されたり、くっついたり、水泡になったり実体化したりを発光しながら永遠に繰り返す)
 ・1歩歩くごとに世界観が切り替わる旅行をする(状況が1歩ごとに変わるので常に世界に置いていかれて何も理解できない)
 なかなかファンキーで面白い夢ですよね、危惧するような悪夢は今のところ見てません。サイコが電波になっただけです、どっこいどっこい。
 この電波夢に嫌気がさすまではデエビゴのまま、服用を続けても良いかなと思っています。

※5月頃から、カウンセラーをしてくれている看護師さんが変更(どうにも心理状態が悪い?心身発達の問題で?)になり、カウンセリングの期間も延長になりました。しかしながら、やはり3回目あたりから険しい顔になってしまうカウンセラーさんなのでした。何かこう、楽しくおしゃべりするだけならわざわざ通わなくても?と思わんでもなくなってくる今日この頃。夏になると明るい元気ウーマンになりますので、そのせいでしょうかね?
 デエビゴも平日に飲めるように5mgから2.5mgに変わりましたが、やはり飲むとほとんど1日眠ってしまう。包丁で3等分くらいにした欠片を飲むのが一番いいかも!って現在の感想です。

  ・派遣社員になる迷昧捺、そして人生3度目のクビへ……

 正直もう職歴のライフは0なわけです。なぁにが四大卒だ、まともな職歴なんてありゃしねぇ。プライドもズタボロ。体もガタガタ。
 ハロワと転職エージェントに「正直この職歴になるとどこも紹介できませんね」とか「ご家族を頼りながらアルバイトで生活してはいかがですか?」と複数人から異口同音に匙を投げられら時はマジでどうしようと思いました。将来お先真っ暗とはまさにこのこと。

 職がぁ! 職がぁぁ!
 どうやって生きていこうと言うのだね!!

 に、ニート大佐!!

 そこで、派遣会社を調べて登録しました。
 親に言ったら反対されるし、緊急連絡先はね、就業するにあたってどうしても必要なのでちょっくら苦労しましたが何とかしました。そもそも最近は正社員でも必要なのに拒否する親も親なわけです。ただ、もうバレてて放任されてる可能性も十分あります。まあでも放置していてくれ、極力ひとりにしておくれ。
 これ書きながら思ったけど、私は携帯買うのに保証人いないと買えた試しないんですけど今のスマホ壊れたらどうなるんだろう……?

 派遣さんも「かなり条件厳しいですね~」って感じでしたが、何とか4月から就業先にありついておりました! やったね。いい職場かは、己のコミュ力次第ということで、もしかするとまたいつものように苦しむことにはなるでしょうが魔法の言葉、正社員じゃないのでそれほどの責任感はいらない……!! 嘘だあ、めちゃくちゃ客商売だよおぉぉぉぉぉやだあああ。
 ただ、どうにもならないものはどうしようもないので努力義務というやつ。一人暮らしの最低限の就業をしているので、これ以上お金稼げなくなったら本当に実家に幽閉される生活に戻らないといけなくなってしまいますから。頑張るぞ、……無理はしない程度に!!!!

 と、思ってたじゃないですか。

 2024年6月頃、就業から僅か2ヶ月で3度目のクビ宣告を味わい「派遣すらも!!?しかも2ヶ月ちょいで!!???」と驚きを隠せない迷昧捺です。後任が決まったのでもう退職しております、恐ろしや〜。
 なぜだ!! なぜこんなにもクビになるのだ!! そうだというのに障害者手帳や就労支援に受け入れてもらうほどの障害ではないとは何ぞ!! 解せぬ……無能はただただ解せぬ。
 己の過失も過大にありますが、私はメンタル終わってると10割自責で泣き喚いて食事を拒否するようになるので、私が気持ちよく働けない職場など存在が悪……と思っています。今、迷昧捺はウニのような殻を纏って歯を剥き出しにしながらチクチクしています。ぐるるるる。

  ・過敏性腸症候群ver.1.02強制アップデートパッチ:モビコールLDを適応しました

 この度は、強制アップデートにご協力いただきありがとうございます。今後とも、【人生限界コンテンツ☆迷昧捺!ドキドキ!?北の島国でアンラッキーパニック!】をよろしくお願いします。

 ということで。ふざけてる場合じゃない。
 過敏性腸症候群が悪化しておりました。言うて薬飲んでりゃ倒れにくくなるし! うん!……と思っていましたがね。
 去年あたりからかかりつけの消化器内科が変わり、薬も変わりといった感じでしたが、まあ便秘が酷いそうで。
 そして、前の病院でも言われましたが、こちらの病院でも同じく「お年寄りみたいな内臓してるんだよね……内視鏡検査の内容もそうだけど、レントゲンも20代の内臓じゃないんだよね。70代80代くらいみたいだよ」と主治医が困っていました。どう足掻いても内臓が年寄り。

 具体的にどの辺が悪そうなのかも聞いてみましたが、やはり内視鏡検査の時に発見された血管のほとんどない真っ白の直腸のあたりがまずいそうです。あとは加えて大腸の形の具合もお年寄りっぽい筋肉が足りなくて内臓を支え切れてない、とのこと。私の長年の洋ナシ太りはやはりインナーマッスル不足だった模様。
 筋トレしたら治りますか? と聞いたところ、「ここまで筋肉がないと難しいかも。トレーニングしたとして君のお腹に発達する筋肉がないんだよね」と苦笑。えっ、そんなことある? 筋肉が、ない? ほぼ皮と脂肪ってこと? ジューシーですね。私はハムか霜降り肉に生まれたなら優秀だったに違いありません。
 あと「肛門周りは筋肉がもう完全に80歳くらいのお年寄りだね。20代で、それも女性で、こんな肛門してる人は滅多にいないよ。これはね、便秘になっても漏れても致し方ない。諦めよう!」って主治医が笑ってましたね。笑うとこなんですねえ。

 要約してしまうと、肛門周りの筋肉(BLで大事なPC筋の方だったかな? 少なくとも肛門括約筋の方じゃなかったですね)がもうどうしようもねえ、と。肛門科に行って治療を検討してください、と。そのレベルだそうです。
 …………。
 嫌じゃ! ケツに機械ぶちこんで電気流して治療しますって概要がもう嫌じゃ!! 貴腐人の興味が擽られて非常に嫌なんじゃ!!! 必要に迫られるまでは行きとうないんじゃあぁぁ!!!!

 どうか過敏性腸症候群を患っている皆様は、少なくとも水分補給とトイレ休憩を自由に取れる、最悪でも平成の職場環境にお勤めできることを願います。

 ■今後の予定

  ・現実面~生活費完全赤字でも耐えられないことはないけど、お仕事を探そう。

 次の就職先探さないと詰む〜!!
 ということで、またのんびり次の職場を探しています。とはいえね、心惹かれるのって就労支援施設なんですよ。しかもB型事業所の方。
 何でこう、事業所って魅力的な仕事ができるところが多いんでしょうね。何の話だって? イラストとかPC系の仕事やりたーい! と思ったらそういうとこばっかり出てくるぜコノヤロー! って話です。探し方下手くそ選手権です。
 けど仮に本当にそういうところで働こうと思ったら大体が日当何百円の世界。当然、そうなると一人では生きていけないし、況してや私はただのグレーゾーンなわけです。多分。となると、場違い感もある。

 よって行くべきは、鬱病系の就労支援施設かな……ああいうのは復職支援というのでしょうか?
 あんまり知識がないので下手なことは書けませんが、見学とか行くだけ行ってみたらいいのだろうか? そもそも自分はそこまで酷い症状なんだろうか? という自分との戦いも始まります。
 カウンセラーさんと話して考えようかなとも思うのですが、如何せん「手広く手を出したら全部やらなくなるでしょ」「そうですね」「でしょ!?分かってるならできることだけにしようね!」とやり取りするくらいには私は新しいものに次々に手を出して撃沈するタイプですし、衝動的にやる! と決めたら勝手にやりだすので……何とも言えないですね。

 ただ派遣で働いてみて給与面が……足りないかも(娯楽費に割けないので休みの日に外に出る、そもそも食事が鶏、もやし、安い納豆で偏ると無気力になってくる)というとても重大な事案の発生に気が付きました。これはもう、内職系の簡単そうなアルバイトを始めるべきでしょうか。確かアルバイトはできたはず……?あ、でも職場が新しくなったらダメかもしれないですよね。悩むなぁ。
 なぜ内職なのかって昼のうち働いてヘトヘトになったまま夜も仕事に行くバイタリティは無いからです。一瞬、近所のスーパーでパートでも……とは思いました。思うだけです。もう学生の頃とは違う、筋肉痛が3日〜5日程度遅れてやってくる体です。
 大学生のように平日5~6個講義取って、週5でバイトして週3でボランティア研修×3なんてできないわけです。例え週3だったとしても体力が保たないでしょう(現に仕事していた時、辞めるって言ってるのに仕事を増やされて体力が足りなくなっていたので、尚更やめたほうが良いわけです)。

 何にせよ、ひとまず目の前のことを何とかする、その日暮らしスタイルでも良いでしょう。多少の赤字もどんとこいです。嘘です、どんとは来ないで……とん、いや、つんくらいで。つんと来い。山葵か?

  ・創作面~7月中に短編集とCoCシナリオを出すぞ!!

 6月はインプット期でした。そして7月は5月と同じムーブをしており、8月は時間が!!!時間が足りない!!!とやっておりました。
 よって油断してたらまた8月が終わりそうです。やーだー。

 それで!元々は7月に完成予定でしたが大幅に予定が遅れてでも何とか8月中に完結させたいのがこちら!

 はい、一次創作『環獄の一片~SSまとめ~』の番外過去編です。
 テーマは連休ということで、連休の概念があるキャラクターたちの過去日常編です。
 普段は1行隣で首が跳ね落ちてるようなグロテスクとスプラッターの反復横とびをしておりますが、今回に関しては少なくともグロではないです。
 もしかすると!
 ちょっとだけ!
 残酷かもしれないけど!
 グロではない。精神的リョナと言われたらそれまで。何も否定できない。もはや手癖と性癖だし、精神リョナのこと野菜炒めの塩コショウくらい当たり前だと思ってるから。そういった訳ですので、是非ともよろしくお願い致します。
 今回は怖くない!……はず。

 以下、ちらっと冒頭だけ掲載。

 冒頭掲載【Page:01 ぼくのおとうとは、なまずみたいでした。】

  「照美《てるみ》は連休どっかいくの?」
 「うん。家族で遊園地に行くんだ」
 友達と話しながら、遊び終わって片付けの始まる夕暮れの帰り道を歩いた。ランドセルにつけたジンベイザメのフェルトマスコット、防犯ブザーと防犯用の鈴、給食袋、通学定期が、少し煩雑な音を立てるのだって心地良いくらいだった。
 明日からは待ちに待った大型連休で、僕は子どもなりにそれを楽しみにしていた。どのくらい楽しみだったかといえば、長期休暇用の課題を休暇が始まる前に作文以外全て終わらせて、毎日家族とどこに出かけるかの話ばかりする程度に、だ。

 だから。
 「えっ。遊園地、中止……? な、なんで? 昨日は行くって」
 「凪沙《なぎさ》が遊園地はどうしても嫌だって。……代わりに水族館に行きましょう。作文には、そのことを書けば問題ないわよ」
 「あ、――う、うん。わかった」
 自分の要求が他人の寝返り一つで容易く却下されてしまった事実は、慣れていたとしても、やはり子どもの僕にはどうしても受け入れがたいものだった。
 「照美はお兄ちゃんだから、凪沙に優しくできるわね?」
 「う、うん。僕、お兄ちゃんだから! 水族館、とっても楽しみ!」
 それでも、僕はなまずにはなれなかった。その日の僕はただの、人間にしかなれなかったんだ。 

 冒頭掲載【Page:02 とげとげチクチク溶けていく】

 ――明日からお父さんの仕事にお母さんもついていきます。
 ――夜にはおば様が来てくれます。だからいい子でお留守番していてくださいね。

 小学3年生の俺は、今回の連休は家に缶詰になることを覚悟した。元々インドア派で、家族の決定についてもあまり不満はない。そういうものなのだと思っていた。
 両親は二泊三日でどこかに行くらしい。俺は父の仕事について深く知らなかったが、外資系企業というものに勤める営業職の父は所謂よくできたサラリーマンで、こういった連休なんかは特に県外や国外への出張も多かった。専業主婦の母はそういう時にいつも父と一緒に出かけてしまうから、俺と妹は普段なら祖父母の世話になる。
 ただし、今回は祖父母の都合が付かず――というよりは、老老介護の状況で入院の予定もあったために孫には手が回らなかったというべきか――世話役に伯母が選ばれた。
 その人は母曰く絶対に見習ってはいけないダメな人らしかったのだが、実際に会ってみた伯母はとても優しく、よく俺たちを褒めて、何でも「いいよ。やってごらん」と笑って挑戦させてくれる気前のいい人だった。失敗したら「次はどうしたらうまくできると思う?」と聞いてくることはあっても、頭ごなしに怒ったり、物を取り上げたりしないその人は、俺にとっては少し珍しい大人だ。
 『きょうのおやつ、いちごのけーきがいい』
 今回の全ての発端で、原因の言葉はこれだった。テレビに映った高級洋菓子店の特集を見た妹が、画面を指さして目をキラキラさせる。こんなことになると分かっていたら、俺はこの時点で妹をきっちり嗜めて、ケーキはお母さんが帰ってきてからお願いしよう、と言っていた。現実は酷いものだ。それは失敗の二文字で括っていいことではなかった。
 『それじゃあ……縫《ぬい》、逢《あわせ》。おばさん、お小遣いあげるからあのお菓子屋さんまで、おつかい頼んでもいいかな?』

 これが、母の言っていた極力関わらないように、という指示の正体であり。
 「う、ひっく……ど、どうしよう……っ! ぐすっ、ぅ、どうしよう……っ」
 一緒におつかいに来たはずの妹が消えた経緯だ。

 *

 冒頭掲載【Page:03 麗らか日和と日々の足跡】

 「ふにゃぁ~ん」
 「わあ! や、やめろ〜……!」
 ごろにゃーん、と飼い猫のパンプキンさんがアキさんの膝に前足をかけて抱っこの催促をしています。いつでもマイペースで自由なパンプキンさんは、今日も白くて艶々の長い毛をアキさんの服に擦り付けています。すっかりアキさんがお気に入りみたいです。
 アキさんはずり落ちそうな大きな黒縁の眼鏡をかけ直しながら、パンプキンさんにされるがまま、後ろに引っ繰り返ってしまいました。成長期はまだみたいで、子どもらしい体つきを覆った灰色のパーカーの上にペルシャ猫のパンプキンさんがドシンと乗りました。
 今日は仕事がお休みで、アキさんも連休で学校がないそうです。だから二人で目覚ましを止めて、二人で歯を磨いて、顔を洗って、二人でトーストを焼いて、ジャムが先かマーガリンが先かで言い合いをして、二人で食器を洗って片付けたんです。まだ口の中にたっぷり塗られたマーガリンの味が残っていました。
 「き、キャシー、笑ってないで助けて! パンプキンさん取ってー!」
 「はい。パンプキンさん、こっちですよ」
 六畳一間の賃貸。一匹の飼い猫のお庭になった自宅に、アキさんが来たのは一年前のことでした。意識してみると、アキさんの桃色に染められた髪が段々色落ちして明るい茶髪になったのにも、いつの間にかすっかり慣れてしまったのかもしれません。
 いろいろあった色々の部分は割愛しますが、アキさんは私の自宅で暮らす高校生の男の子です。アキさんは親戚でも何でもなくて、ただ外で知り合っただけの男の子ですが、本当にいろいろあって、一緒に暮らしています。
 ……本当はアキさんはアキさんじゃなくて、小春《こはる》さんですけど、でもアキさんは自分の名前が嫌いだそうです。初めて会った時も、アキです、って言っていました。だから、私は彼をアキさんと呼びました。
 「ぶなぁ」
 「パンプキンさん、アキさんに無理を言っちゃ、だめですよぉ。私で、我慢、して、ください」
 「ぅにゃあ。ゴロゴロゴロ……」
 抱っこしていたパンプキンさんが鎖骨の辺りをふみふみし始めました。爪が食い込んでいます。パンプキンさんは爪切りが嫌いなので今まで爪切りできていませんでしたが、もういっそどこか、獣医さんにでも爪切りをお願いするべきでしょうか。でも爪切りだけでなんて、迷惑なような……。考えていると後ろの方で洗濯機の鳴る音がしました。アキさんが「洗濯終わった!」と真っ先に走っていきます。
 時計を見上げると、時間は九時を少し過ぎたくらいです。アキさんが家に来てから、仕事がお休みの日でも早起きしていることが増えた気がします。パンプキンさんはその分、甘えられてとても嬉しそうです。初めは起きるのもつらかったのですが、最近は少しだけ慣れてきました。パンプキンさんのためになるなら早起きも悪くはないのです。
 「キャシー、晴れてるから外に干していい?」
 「……はい」
 アキさんがカゴを抱えてバルコニー――ああ、この国ではベランダの方が適切でした――に出ていきました。開いた窓から涼しい風が吹き込んで、初夏の葉っぱの匂いがします。仕事で忙しいとせっかくの四季を意識することもそう多くありませんが、もうすっかり夏になってるのですね。
 私の上から飛び降りたパンプキンさんが開いた窓からするりと抜け出ていきました。洗濯物を干すアキさんの横を抜けて、ベランダの塀にジャンプしたパンプキンさん。アキさんが、暗くなるまでに帰ってくるんだぞ、と声をかけます。パンプキンさんはそのままお隣の塀にピョンとジャンプして行きました。お利口なので通じています。夕方には、戻ってくるはずです。
 今日も、静かで穏やかな、良い日になりそうです。

 *

 冒頭以上です!! うーーむ、一人称は迷昧捺の本分です。一人称だーいすき。いつも変な視点でやるから慣れた一人称で書けてにっこにこです。

【CoCシナリオ】さめぬいのいやし【6版】制作中

 CoCシナリオを公開するぜ! ということで。
 『さめぬいのいやし』
 7月14日0時、公開予定でした……。はい。
 間に合わなかったので8月中に出したいと思います!

 7月14日はシャークアウェアネスデイでした、直訳して世界サメの日がなぜか年に2回(もう1日は11月27日でしたよね、多分)存在する、世の中は不思議に満ちています。ヒトはサメを愛しているのかもしれない。
 なお、この文言はシナリオ内容とは99%全く関係ないです。

 筆者は高校生頃からCoCを嗜んでおり、当時は自作シナリオをぽつりぽつり作って身内に回ってもらったこともあるのですが、こうして大人になってから自分のペンネームでweb上に公開すると決めたのは初のことでございます。
 良いシナリオになってたらいいな。テストプレイは(周りに急遽頼める人はいない、なぜなら私の作業がどちゃくそ遅いから)できませんので、動作不良は実際に動かしてみた人たちから回収するしかないなと思っています。是非ともシナリオ公開の暁には、ビシバシ送っていただきたい。

 ところで何故にシナリオを? というものですが、心境の変化も何もありません。なるべく1つでも世に作品を出して、私が死んでも私のこと覚えててもらいたいぜ!期がやってきていているというだけでございます。
 何だそれ、と思うかもしれませんが、時々あります。寂しがりなので箪笥の肥やしを引っ張り出して、見て見ておばけになってしまうのです。見てくれ〜っ。

 というわけです。CoCに馴染みのある方は是非とも無料シナリオとして公開いたしますのでよろしくお願いします。

 ※今年中に作りたいシナリオがあと2作あるとかいう鬼のようなスケジューリング(もう破綻してる)がありますので、何とか何とかやっていけたらと思います。

最後に

 ここまでお目通しいただきありがとうございます。長いね、もっと短くまとまらんのでしょうかね。要改善です。

 今後の更新予定などですが、先ほど前述している更新分は作るということは確定です。
 noteの更新についてですが、1年くらい前にやっていた『無職曖昧』シリーズでの己の自語り毒吐きをしてみたり、『カクヨム更新お知らせ』とは名目上の宣伝したいから一次創作についていろいろ語るぜ文章も、ぼちぼち再開したい見込みだけあります。
 再開するとは一言も言ってません、見込みです。
 こいつは、みなし残業と同じくらい実のない奴ですよ。ははは。

 というところで、今回の曖昧月記はおしまいにしたいと思います。
 ありがとうございました。
 更新が出来たらまたお会いしましょう。


( ゚д゚)!!!!!