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「わずかにいかれてる」 私が敬愛するバッグメーカーの話

あなたのコピーの特徴はなんでしょう?
-「わずかにいかれてる」でしょうか。つまり不適切な語りの限界まで行くことです

これは私が敬愛するバッグメーカー、FREITAG(フライターグ)のムック本(PARCO出版,『フライターグ 物語をつむぐバッグ』)から取った一節だ。
ブランドのコピーライターが放った言葉の、この「わずかにいかれてる」という言葉。
そこに、世界中にファンを持つFREITAGというメーカーの面白さが凝縮されていると私は感じる。
このnoteでは、FREITAGのことを知らない方にもその面白さといかれ具合を知って欲しいと思う。

ユニーク過ぎるプロダクト

まず製品自体のアイデアが奇抜で凄く面白い。
ここでは割愛するが、簡単に言うとその魅力は「ポップで」で
「ニッチ」で「唯一無二」といったらいいだろうか。

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webサイトを見るだけでも楽しいので、是非見て欲しい。
https://www.freitag.ch/ja

斬新過ぎるマインド

世界中にファンのいるメーカーながら株式上場をしていないFREITAGは、
その自由で斬新なマインドで型にはまらないアクションにでる。

その例のひとつが、バッグの交換プラットフォームS.W.A.P. だ。
S.W.A.P. は、購入した自社製品(ウォレット等の小物を除く)をサイトに登録することで、世界中のユーザーとバッグの交換ができる場を提供している。自社製品のマッチングアプリと言えばわかりやすいだろうか。
製品に使用される素材がゴミであるように、エコブランドの先駆けとして広く認知されているFREITAGらしい取り組みだ。

バッグを使い古したり飽きたりしたユーザー達に新しく購入させるのではなく彼ら同士で交換させる。ガツガツ売り買いするのではなく、永く大切に使っていこうよと企業自らが発信しているというのは凄く新鮮だ。
似たような例がもう一つあるので紹介する。

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ある日私がWEBサイトを開くと、最初の画面にこれが表示された。
製品はとにかくユニークなため人と被ることはほとんど無く、その面白さから色違い・模様違まで欲しくなる人は多い。
海外では転売行為も起こっているそうだ。
だけどその熱を少し冷ましてくれるような、粋なメッセージをメーカー自身が発信している。これも「ちょっといかれた」斬新なマインドのひとつだと私には思える。

クセになる、ユーモラスなコピー

これは私がFREITAGの面白さを語る上で一番推したい部分だ。
メーカーで使われる文章はありきたりな製品・企業理念の紹介文等とは違った遊び心を備えている。

テキスト:カジュアルに、しかし陳腐ではなく遊び心のあるウィット:間違いなく驚きのある、しかし不器用ではない。コスモポリタン、スモールタウンではなく。皮肉、嘲笑ではなく

こちらも前出のコピーライターがコピーについて述べた文。
一見両立しにくそうな要素が並ぶがFREITAGのコピーはまさにこの通りだ。
サイトの文章はしっかり商品や企業の紹介をしながらも、読む私達と会話をしているような、コーヒー片手に喋っているような感じがするのだ。
先ほど紹介したオンラインストア休業のお知らせをする文章からもその雰囲気が感じられるのではないか。
言葉使いひとつひとつもフランクで、ブログのように定期的にWEBサイトを見に来たいと思わせてくれる。

ファンを獲得する魅力

もの作りでもサービスでも、作り手が「面白い」とする感性を大切にした
ものには自然と人が集まるのではないかと思う。
ユーモアや遊び心の欠けた表現は浅い伝わり方しかしない。

商業的な型に留まることなく、見る人がクスッと笑えるような心に残るようなものを作るメーカーは非常に魅力的だ。
それが世界中でファンを増やし続けるFREITAGというメーカーの強さだ。

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