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『第二のホリエモンになった気分で街を歩く』

先日、休みの日に街の大きめな本屋さんへと出掛けた。

目当ての本も購入し、嬉しい気持ちと同時に、とてもお腹が空いている事に気がついた。

外でご飯を食べてから帰ろうと思い、本屋さんの道を挟んだ正面に和食メニュー中心の某チェーン店があった。

そこの「チキン○○さん煮定食」を食べようと思い店内へと入る。

店内はお昼時では無かったが、とても混雑していた。

予約ボードに名前を記載して座って待っていた。
ただ待っていても暇なので店内を眺めていると、ホールには2名の店員さんが慌ただしい様子が伺えた。

その2名は食事の提供から片付け、レジ打ちをこなしていた。
注文を取るのは各席に設置されたタッチパネルであったが、とても忙しそうであった。

座って待っていると、自分を含めた、数名のお客さん達に店員さんが「ただいま大変混雑しており、お席への案内は30分程かかり、更にそこからお料理の提供までとなると1時間程掛かってしまいます。ご迷惑をおかけし申し訳ございません。」
と謝罪をされていた。

自分としては「チキン○○さん煮定食」食べたくて、好きで待っているだけなので、「謝らなくてええんやで店員さん。むしろこっちこそ混雑時に入ってゴメンやで」と声を掛けたくなったが、止めておいた。

しかし、ちょっとお腹が空き過ぎて、お腹と背中がマジでくっつく2秒前だった為、別の店で食事をするかなと思い、ボードに書いた予約の名前を消して店を後にする。

少し歩くと、立ち食い蕎麦の店があった為、そこに入る。
券売機で、月見そばの食券を買い、待っているとすぐに提供された。
月見そばと冷水機で水を入れたコップを、自分でテーブルまで運んだ。

その瞬間、蕎麦に浮かんだ卵と同じように、私の頭に名案が浮かんできた。

「全部の飲食店、立ち食い蕎麦屋システムで良くね?」

それは自分で食券を買い、自分で席まで運び、自分で片付けるシステム。

これなら先程の某和食チェーン店の店員さんのように、謎に謝らなくて済むし、少ない店員数でも店を回せるし、回転率も上がりそうで、人件費も削減出来そうでWin-Win-Win-Winじゃん。
蝉の鳴き声みたいになってしまったが、名案が浮かんでしまったと思った。

こりゃまいったな商売の才能を開花させてしまったかなと思いながら、月見蕎麦を食べ終わる。

ビジネスの才能を開花させてしまった私は、ホリエモンになった気分になり、球団やテレビ局を買収しそうな顔付きで街を歩いていた。

しかしそんな名案にすぐ暗雲が立ち込める。
そのシステムになると、面倒だったり、危険な事だったり、なんか雰囲気が壊れてしまうパターンがある事に気がつく。

例えば熱々の石焼きビビンバの店が立ち食い蕎麦システムになったとしよう。
店の中で、お客さん各々が熱々の石焼きを持って歩いているのである。鍋系の店でも同様である。危険極まり、恐怖でしか無い。

また他にはコース料理を出す高級フレンチの店がそのシステムだと、券売機に「コース料理3万円」と書いているのだ。これでは、ドラマとかでよく見る、カッコ良い支払いをする事も出来ず、雰囲気が壊れてしまう。
またコース料理なので、その都度お客さんが自ら皿を何回も運ばねばならない。往復で歩き過ぎてお腹が空いてしまいそうである。

名案が破綻してしまった。

良いと思った事も、全てに当てはまる訳では無いなと気づき、ホリエモンからいつもの顔に戻り、歩いて帰宅した。

そんな顔の変化が忙しい休日であった。

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