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『散髪しに行ったら、魚屋さんになった』

先日、伸びた髪の毛を切りに行こうと散髪屋さんに行った。

開店直後の店内は、空いておりすぐに席へと案内される。

普段からいつも行っている場所で、店主と「この暑さはいつまで続くのか」といった、恐らく世界的にみても「最近の他愛も無い会話ランキング」上位に来るであろう会話を済ませる。

店主から「今日はどのくらい切ります?」と言われ、いつもなら「毛先を1、2cm切って、ボリュームを少しスイてください」と注文する。

しかし今日の自分はいつもと違った。
最近、湿度も高く気温が暑過ぎすぎる為、「もう前髪も横も何もかも全部いらねぇ!」と髪の毛自暴自棄になっていた。

そんな髪の毛自暴自棄の注文は「とりあえず刈り上げて、めちゃくちゃ短くしてください。」と注文した。

店主はそんな私のいつもと違った注文であった為か、「えぇ!?急にそんな短くするの!?」と動揺を隠せていなかった。

私は髪の毛自暴自棄になっている理由を説明し、涼しげな髪型にしたい事を伝えた。

刈り上げといっても色々な短さがあり
12mm、9mm、6mm、3mmの参考写真を店主から見せて貰う。

12mmだと、刈り上げした感じが全く分からない。
9mmも殆ど分からない。
6mmだと刈り上げ感は出ている。
3mmの写真を見る。頭皮が分るくらいの短さ。
3mmの写真を勢いよく指差し「これでお願いします!!!」と宣言した。

3mmの刈り上げに決定し、上の髪の毛も合わせて、めちゃんこ短くしてくださいと伝える。

すると店主は笑いながら、「そんなに短くしちゃったら、魚屋か寿司屋みたいになっちゃうよ」と言った。

急な店主の魚屋さんディスに驚いた。魚屋さんに何か恨みでもあるのかな?と思った私だったが、「それでも大丈夫です」と変な発言をしていた。

散髪用マントを掛けられ、いざ散髪が始まった。バリカンを動かし、どんどんと進んでいく。

もう、ここからは目を瞑ろう。目を開けた時には爽やかお布団こもりが目の前の鏡に現れているはずである。

カットからシャンプーまで終わり、いざ鏡の目の前の自分を見て、心の中にこの一言が浮かんだ。


「へい、らっしゃい!!」


そこには、間違い無く魚屋さんが存在していた。
新たな自分の一面に感激と興奮と、ちょっとやってしまったかもと思う気持ちが入り混じる。

その後、顔剃り、散髪屋特有のマッサージ、ドライヤーを済ませる。

あの散髪屋さんマッサージの気持ち良さは凄いよなぁと思って鏡を見ると、魚屋さんが気持ち良さそうにしていた。それは自分であった。

会計を済ませながら、「スッキリしました!ありがとうございます!」と店主に感謝を告げ、店を出る。

外は暑い空気に溢れていたが、スッキリした頭の私は、刈り上げるとこんなにも涼しく感じるのか!と驚いていた。

家への帰り道、頭の中ではシブがき隊の『スシ食いねェ!』がずっと流れていた。

魚屋さん独特な声はどうやったら、出せるのかと考えながら心の中で「へい、らっしゃい!」と呟いた。

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