『コンビニへ行ったら人生の真理を買えた。たぶん。』
コンビニへ行った。
すると人生の真理を購入出来てしまった。
暑さから逃げるように、アイスを求めてコンビニへ駆け込んだ。
コンビニの冷凍ケースには、「買っておくれ〜」と今にも叫び出しそうなアイス達がこちらを眺めていた。
そんなアイス達の熱視線に負けず、どれにしようかなと、対局中の藤井聡太七冠ばりに冷凍ケースをじっと眺め熟考していた。
「うーん、いつも通りシンプルバニラアイスにしようかな。いや待てよ、このかき氷タイプのアイスも中々捨てがたいなぁ。」
私の内なる藤井聡太七冠は悩んでいた。
すると、熟考していて気が付かなかったが、隣に小学生位の子供とその親と思しき男性が立っていた。
親子仲睦まじく、どのアイスにしようかと選んでいた。
小学生くらいの男の子がチョコミントアイスを指差し、「色が綺麗だから、コレが良い!!」と言った。
その親子はそのままチョコミントアイスをカゴに入れ、レジへと向かって行った。
私は心の中で「アイスを味では無く、色で選ぶとはやっぱりお子様だな。」と思った。
「色でチョコミントアイスを選んで、後悔するかも知れないぞ少年」と心の中でおせっかいをしていた。
そんな、おせっかいな私はチョコミントアイスを食べた事が無かった。
というか今まで、食べようと思っていなかったのである。
何故なら、チョコミント好きには大変申し訳ないが、「歯磨き粉の味がする」といった世間一般的に共有されているレビューを見聞きすると、冒険して買う事が出来なかったのである。
それと同じような理由で、パクチーも食べた事が無い。
「やっぱりいつも通りのバニラアイスにしよう」と内なる藤井聡太七冠は決定したのだが、何故か私の目線は「色が綺麗なチョコミント」に注がれる。
それは何故か。
私の心に引っかかる何かがあったからだ。
私の内なる藤井聡太七冠は、更に冷凍ケースの前で熟考する。
すると、心に引っかかっていたものが解きほぐされた。
小学生の彼は、色が綺麗だからという自分の意思を持ってチョコミントを「選択」していたのである。
私がチョコミントを選んでいなかった理由は、外界からの「歯磨き粉の味がする」といった刺激を受けて、選ぶ以前の段階で「排除」してしまっていたからである。
その事に気がつきハッとした。
人生の真理がそこにはあると感じた。
他者からの刺激によって、「排除」してしまったそこには自分の知らない楽しい世界が広がっている可能性もある。
それを他者の意見によって排除していては勿体ない。
人生を楽しく過ごす為の真理とは、外界からの意見に左右されず、自分が「美味しそう!」や、「素敵だ!」と思った事へ行動していく事なのではないだろうか。
チョコミントを食べる事で私の世界が広がるかも知れないのだ。
チョコミント食べる→ミントの美味しさを知る→ミントを育ててみる→新種のミント発見→ノーベル賞受賞!!!
という事も0%では無い。
ノーベル賞を受賞したいし、「やらない後悔より、やった後悔」と誰かが言ってた言葉も思い出し、私も「色が綺麗なチョコミント」をレジへと持っていく。
その後、チョコミントアイスを家に帰って食べた。
一口目
「うん、やっぱり子供用歯磨き粉の味がする。」
二口目
「やっぱり他者のレビューとかって大事だったかな。」
三口目
「あれ?何だか爽やかでクセになるかも。」
食べ終わる頃には、「チョコミントアイスって美味しいのかも?知れない?」と思うようになっていた。
スピッツが『運命の人』という楽曲の中で「愛はコンビニでも買えるけれど、もう少し探そうよ」と歌っていたが、「人生の真理」はコンビニで買える事が出来た。たぶん。
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