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270 高専という選択肢

はじめに

昔から人気ではありましたが、今日の高校進学に関わる受験において高専と言う選択肢に注目が高まっています。
高専とは、高校が社会に出る前の一般的な教育が行われるのに対して、高専では技術者になるために実習を含む専門教育が行われる点で大きく違います。また、教員免許を持った教師が教える高校とは異なり、高専では専門科の博士号を持った教員が授業を行っている点も大きく違います。高校では3年間の教育を基本としていますが、高専では5年間の中で一般教育と専門教育を一貫して学びます。
今日はそんな高専について少しお話してみたいと思います。

高専の歴史と規模

高等専門学校、高専では実践的で創造的技術者を養成することを目的とした高等教育を受けることができます。 47都道府県で見た時には、国公私立合わせて57校が存在します。現在、全体で約6万人の学生が高専を選択し学んでいます。少し歴史的なお話をすると、1962年に12校が設置され、その12校をはじめとする51校55キャンパスが国立高等専門学校として存在します。因みに山梨県には国立の高専は設置されていません。
私も実は、中学から高校に進学を考える際に長野高専という学校への進学を考えたことがあります。将来につながる学習ができるという魅力を当時強く感じました。手に職がある状態を望むなら高専の進学は魅力的です。
高専にも御三家と言うものがあり、奈良、神戸、仙台の3校はその強さから高専界の「御三家」と称されています。中でも兵庫県明石市にある明石高専進学、就職のどちらも優れています。旧帝大への合格者も30人を超えるなど圧倒的な結果を出しています。

高専から大学へ

高専から大学の編入学は、非常に有利な大学進学の方法として有名です。共通テストや模試などをすべてパスできる編入学試験を1回受けるだけですから、相当効率的に学習を進めることができます。
ですから旧帝大などの上位大学に入学しやすいわけです。また、高度な理数教育を受けてきていますので大学内に入っても高専からの編入生はとても優秀な子が多いです。また、単位認定という方法をとりますので、高専で取得した単位がそのまま大学1・2年で取得する単位に置き換えることができます。この方法で入学後のスケジュールに余裕が生まれ、研究や開発と言ったより実践的な理系教育を受けることができるわけです。
また、編入試験の内容は一般的な普通科の高校生が大学進学ために勉強する内容よりも、高専からの学生は大学で学ぶ内容や現場で使える内容に直結している内容がテストとして出ますので、高専での学びがしっかり進められていることがそのまま受験学習になるといった印象です。さらに、技科大や専攻科には入学試験ですらパスして推薦で入学できます。そのため、そこまで見越して自分の将来の夢がエンジニアであれば、高専から大学という進路選択は、有力なルートとなるわけです。

大学の教授たちが高専生を欲しがる理由

中学校を卒業後、5年間を一貫として専門教育を受けることができる高専を卒業した学生に大学工学系の教授たちが注目している話はよく耳にします。高校3年、大学4年で計7年間を要する大学工学部レベルの教育を、重複なく5年間で完成する一貫教育を行う高専生は高校生とは身に付けている内容が違います。
少し前は、高専というと学歴的には短大卒と同じであるため、高学歴化が進む社会では、入学希望者が落ち込む傾向もありました。しかし、最近では、高専生が有能な人材として再認識されていることで、入学することは至難の業となっています。
産業界は、技術者として高い評価をしていますし、大学工学系の先生たちは大学生より高専生のほうが優秀だという話を様々な場所で公言しています。また、時代も後押ししています。昨今のAI活用の促進とAIの研究の広がりを的確にとらえた高専の教育は、AIの分野についても成果を上げ、高い評価を集めています。
高専が創設されたのは高度経済成長期の1962年のことで、経済成長が著しいなかでした。当時、技術系人材を早く社会に送り出したいという社会的な要請もあったわけですが、今日の日本においてもロボットや機械開発、プログラミング、システムエンジニアなど新たな技術系人材が不足している現状があり、高専生が就職においても進学においても注目されているのでしょう。


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