408「変な絵」から学ぶ独自性
はじめに
今日の教育コラムでは、今読んでみたい本の紹介をしてみたいと思います。
怖いけど読んでみたい
飛鳥新社刊行の 「変な家」は初版部数1万部で刊行され、発売1か月で10万部を突破し大変話題の作品となりました。
少し前に映画化され、中高生で観に行った子も多かったようで「怖かった。」という感想たくさん聞きました。
変な家のヒットが一年以上続き、最新作が発表されました。それが双葉社から刊行されている「変な絵」です。
雨穴(うけつ)氏の作品
ホラー作家でありながらYouTuberでもある雨穴氏が今回の作品の著者です。自身初となる11万字書き下ろし「長編小説」ということで注目を集めています。今回の「変な絵」には、「何かがおかしい」絵が登場します。ブログに投稿された「風に立つ女の絵」、消えた男児が描いた「灰色に塗りつぶされたマンションの絵」などなど、何を伝えるために書かれた絵なのかを解き明かしながら読み進めていくうちに真実にたどり着くミステリー小説です。
作中に登場する9枚の変な絵を手掛かりが一つに繋がる瞬間、事件の真相が見えてくるという作品は「スケッチ・ミステリー」という新境地の作品と言えます。
新しい表現の組み合わせ
雨穴さんの表現の手法は独特で個性的です。YouTubeでは恐怖心を誘うような手法でありながらも子供や若者を中心に人気を集めました。動画と文章を組み合わせた動く小説のような新感覚に魅了されます。
「変な家」では、家の間取り図からその住人の見てはいけない闇の部分が暴かれていくという、斬新な作風が多くの人の興味や関心を掻き立てました。その結果、100万部突破のベストセラーにまでなったわけです。
ご本人は、インタビューでこのような発言をされています。
(以下コメントの引用先:ITmdia NEWS 「変な家」が大ヒット、謎のYouTuber「雨穴」が仮面をかぶった理由 2024年05月02日 10時37分 公開)
「ホラーでたびたび、扉のない謎のスペースが題材とされますが、監禁スペースや座敷牢だったという結末が多いんです。そこに新しいストーリーの着地点を作れないかと思ったのが初めですね。それを物語として形にする上で、松原タニシさんの「事故物件怪談 恐い間取り」や綾辻行人さんの「館」シリーズを参考に自分なりの表現方法を模索し、その結果、完成したのが「変な家」です。」
また、このようにも同インタビューで述べられています。
「私はもともと、「オモコロ」というWebメディアのライターで、画像と文を組み合わせ記事を作っていたんです。「変な家」も元はそこに寄稿したフィクションの記事でした。記事が反響を呼び書籍化の話が来たのですが、文学の素養がない自分が正攻法で小説を書いてもプロに勝てるはずがない、どうしようかと。そこでWeb記事のスタイルで本にしようと決めたんです。」
私はこの記事を読んで、これまでのやり方ではなく、自分の得意な分野を最大限に活かして勝負をするという独学的で独創的な挑戦を展開した姿勢に共感をもちました。
変化の激しい時代において、同じようにしていれば上手くいくという時代はとうの昔に終わったことを改めて感じた瞬間でした。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?