見出し画像

427 NHKの工夫

はじめに

7月7日の東京都知事選の結果も気になるところですが、候補者による政見放送が順次行われました。各候補者の主張が展開されたわけですが、その内容にも注目するところではありますが、私は、NHKの工夫と努力に感銘を受けました。今日のコラムでは、NHKのご苦労について少しお話してみたいと思います。

過去最多なため

今回の東京都知事選挙は、とある政党のポスター掲示板の運用の仕方に序盤から注目が集まっていました。
なかには警察に注意を受けるような内容のものまでありましたし、故人の名前や画像を無断で転用しているようなものまで存在しました。候補者ではない人から寄付を集め、支払った人に自由にポスターを貼ってよいといったビジネスのようなものを展開しているため、このような公職選挙法やその他の法律に触れるような事態になってしまっているのかもしれません。
さて、過去最多の56人が立候補している東京都知事選ですが、中でも今週行われたNHK総合で放送された政見放送は強烈な印象でした。早朝6時からと深夜11時からということで、仕事を終えた後でも視聴でき私個人としては助かりましたが、おそらく多くの人は睡眠時間にあてている時間ではないかと思います。
登場した候補者の中には、複数名、子どもに見せるのをためらう様な内容のものがありました。選挙期間中ですので政党名などは避けますが、いずれにしても当選を目指していないと捉えられてもおかしくないような公約や主義主張に思わずお腹を抱えてしまうことすらありました。
政治や選挙を皮肉ったコントや漫才よりも現実離れした現実に東京都知事選挙のバカバカしさを感じてしまいました。巨額の税金を投じて行われる選挙がいかに形ばかりの民主主義であるのかということを実感したと言ってもいいでしょう。

NHKの工夫

政見放送は衆参議員と知事の選挙が対象で、都知事選の候補者1人の持ち時間は約5分です。テレビはNHK総合と東京MXで放送されます。10時間を超える全体の放送を、何日かに分割して放送するわけですが結果としてそれぞれの放送開始の時間を早めたり、遅くしたりして目につきにくい時間帯に放送しています。
これには一理あります。先程も述べたように聞くに堪えない、家族で視聴することを避けたいと感じる人が多いような放送が一部予想されるからです。実際に用いている言葉自体が差別的な用語であったり、行動や衣装が不適切だと感じたりする人が少なくないようなものが散見されました。こうした、ことを考慮した上で、NHKは苦肉の策として放送するができるだけ目につかないような時間帯でかつ常識の枠で納めているように感じます。個人的には手話で通訳している方のプロフェッショナルさを感じました。

政治と金の問題が出発点

そもそも、札束で横っ面を殴るような選挙をし続けてきた昭和の選挙が、守らない公約で聴衆を煽り続ける平成の選挙へ、そして、自分を認知してもらう売名の令和の選挙へと移行しているのかもしれません。
SNSが普及し、誹謗中傷の空中戦が激化しています。認知戦の末に何が待っているのか、そこには現実の行政という社会的課題や問題、経済対策と向き合う対応力に目を向けない印象だけの人選びが待っているのかもしれません。選挙は確かに人気投票なのかもしれません。しかし、人気といってもその中身は様々です。人を見る目を養う上でも、最多候補者が出ている今回の東京都知事選はもしかすると最高の教育機会なのかもしれません。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?