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334 教育ガラパゴス


はじめに

今日の教育コラムでは、日本の教育について少し考えてみたいと思います。実は、今日3月31日という日は、日本の学校では年度おさめの日で新年度が明日から始まります。教員をしていたころは、この日までに指導要録をまとめて引継ぎを行い、そして新しい職場に挨拶に行くといった具合に忙しい一日であったことをよく覚えています。
そんな3月31日なわけですが、1947年の3月31日は日本の教育の転換点となる「教育基本法」と「学校教育法」が公布された日でもあります。この法律は、今日の日本の発展に欠かせない重要なものであることは言うまでもありません。

教育基本法

教育基本法は、日本の教育に関する根本的・基礎的な内容を定めた法律で、現行の教育基本法は、2006年(平成18年)12月22日に公布・施行されたものとなります。注目すべきは、前文です。
「たゆまぬ努力によって築いてきた民主的で文化的な国家を更に発展させるとともに、世界の平和と人類の福祉の向上に貢献することを願う」
と記されています。つまり、教育はこの理想を実現するために推進するものだということなのです。

学校教育法

学校教育法にはどのようなことが定められているかというと、日本の学校教育制度の根幹が記されています。学校制度は小学校6年、中学校3年、高等学校3年、大学4年の「6-3-3-4制」を基本とする単線型学校体系になっています。学校教育法の精神は公の制度である学校を1つの法律で規定し、教育の機会均等を図ることにあると言えます。教育の機会の均等と言っても現在の状況は、完全なものだとは言えないことを多くの人が感じているかもしれません。

日本の教育の課題

学力と聞くと、多くの人がイメージするものがあるかと思います。また、多様な学力の測定の仕方の中でもテストや受験、偏差値などの強烈にわかりやすい指標が重要視される傾向と結びつくとここで言う、この学力は大変大きな存在になります。
しかし、実際の社会の中での営みのなかで、その多くの人がイメージしている学力がマッチしているかどうかというと残念ながら今日の社会ではそうではない部分が拡大しているのです。この視点の欠如こそが日本の教育界に足りない視点なのです。

教育の変化

明治の近代化の中でみんなと同じ内容を同じように身に付けることで作られる、企画内の人材を育てる教育が盛んに進められてきました。
これは、当時の社会構造や産業構造に適した方法を優先し、それにより国を富ませるという意識が強かったためであると考えていいでしょう。
しかし、今日のAIの登場やインターネット普及により、社会構造も仕事の在りようも激しく変化しています。正解至上主義のような答えのあるものを求める力とは別に答えのないものに立ち向かっていく力が必要になってきているのです。だから、正しい、一つだけの答えを求め続けるという問題やそれにこてる力を身に付ける教育の仕組みだけでは、十分に対応できないのです。これが、日本の教育をガラパゴス化させている最も大きな要因の一つだと言えます。

世界標準の必要性

日本の外では、教育の姿は20年先の姿を実現しているのが現状です。日本は教育に国がお金を出し惜しみします。すると、この変化に対応するだけの力は失われていきます。
もっともっと現場の先生たちをフィンランドやスウェーデンやドイツやアメリカやカナダやオーストラリアやオランダなどの教育先進国へ遣唐使のように送りだす時代なのです。
そして吸収し、自国の教育の発展に努めるべきなのです。世界を知らない教師は国際社会で活躍できる人材を育成できるとは思えません。福沢諭吉も渋沢栄一も津田梅子も世界を知って日本の教育を世界標準に近づけようとしたわけです。日本の教育を支える多くの現場の先生方をもっと世界の教育現場の研修に向かわせるべきなのは、そうした背景からも言えるように思います。
一方で、実際には、もうすでに世界では様々な国が教育の世界標準とはどんなものであるかを提案し、認知され始めています。例えばTOEFL、TOEICは、日本の教科書とは関係のない能力を測る仕組みの一つです。就職には、この評価が影響するシーンは増えています。また、IB教育もその一つで学習の過程で取得したポイントはそのまま大学の進学に使えます。
インターナショナルスクールや各国の現地校の卒業生は、国際的に通用する大学入学資格を付与する仕組みです。世界標準の前では学習指導要領も共通テストも大きな意味を持たなくなっていきます。世界標準が次第に浸透していくということは、文部科学省の指定する一元化された教育以外のものが広がっていくことを意味します。するとより一層旧来の教育はガラパゴス化していきます。

ヨーロッパ型

ヨーロッパ型の教育は、一つの見本となるでしょう。創造力を育む教育法を重要視しているヨーロッパでは、個々人の創造性を高めて起業力をつけることを目指しています。これは、産業を発展させるという教育戦略がそこに明確にあるためです。
北欧やイギリスでは、教科書検定が無いのもおおよその教える内容を定めておくことで、多くの学生は、それぞれの先生が目の前の学生に合わせて、必要な手法や教材を用いて教育するやり方に委ねているのです。
日本のように同じ教科書、同じテストを用いて教え込んでいくような、方法ではないということです。

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