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393 酪農の崩壊


はじめに

日本の酪農経営が壊滅的な危機に瀕しています。2023年の酪農農家の実態調査によれば、85%の農家が赤字経営をしていて、その内4割以上が月額「100万円以上」の赤字に陥っています。
今日の教育コラムでは、この原因についてふれながら、日本の農家の現状と未来について少しお話してみたいと思います。

インフレを目指した先にあったもの

酪農経営に大きな打撃を与えている要因はいくつもありますが、その中でも、「飼料価格の上昇」「子牛販売価格の下落」は2大要因だと言われています。この二つは直接的に支出を増やし、収入を減らします。これにより経営は悪化し、牧場が減少し、各酪農農家の借入金は増加しています。牛の飼育頭数も同時に減少していくわけですから、国産の牛肉や牛乳の生産にも影響が出るわけです。
飼育用の飼料の値段は、物価高と円安で海外からの輸入品も高騰していますし、燃料高や人件費の高騰もあり、そもそも国産の飼料自体が高くなっています。高くなった分を価格転嫁できればよいのですが、多くの場合、卸値事態を各酪農農家が自由に決める仕組みになっていませんので大変に苦しい経営を迫られています。

自給飼料の拡大

問題の根本の一つとして飼料の高騰があります。この問題の解決に向けて、自給飼料の比率を向上させる必要があります。
つまり輸入に頼るのではなく自給自足できる国になるということです。ウクライナの戦争が長引く中でトウモロコシの値段も上がっていますし、他国での資料の消費も増えています。
自給自足が進めば、様々な世界情勢などに左右されない安定した経営体制を確立できると考えられています。
政府も、飼料の自給率の向上に乗り出しています。2020年度に約25%だった飼料自給率を、2030年度までに34%に引き上げるとしています。しかし、価格の高い国産飼料を用いることのできる体力が各酪農農家に残っているかというとなかなか難しいようです。
国産飼料の利用拡大に取り組む酪農家に対して、コストの一部を補てんする施策なども打ち出されていますが、やはり現状は過去に例のないほどの過酷な状況になっています。

飼料用米

飼料用米の活用も注目されています。日本では耕作放棄地が増え続けています。この農地を利用した飼料用米が栽培されれば、国内の水田で生産されるわけですから、海外の相場に左右されることなく資料を提供できます。
また、日本には各地に水田がありその土地土地の飼料用米を使うことでブランド力も高まる可能性があります。
私たちは、社会の授業や教科書で酪農や畜産について小学校で学び、中学校でも学びます。しかし、現状の課題やこれからの未来について真剣に考える機会はどれほど充実しているかと言えば課題が残ります。
学ぶということが生きる力につながるとすれば、多くの人が今どのように生きているかを学ぶことが大切なように思います。そうした意味でも酪農農家の苦境に目を向けてみることで何かが見えてくるように思います。
社会は暗記ではなく、考える学習であり解決していく力を高めていくことが可能です。そんな意識で学んでみてほしいとやはり思います。

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