570 兵庫県知事選挙「投開票日」
はじめに
2024年3月から始まった兵庫県における県政の混乱は、その混迷を深めていきました。その過程の中で県議会議員による不信任決議案が可決されました。それも、86対0の全会一致という結果でした。
10月31日告示、11月17日の投開票となったこの県知事選挙は長く険しい道のりでした。その結果が、今まさに示されようとしています。今日の教育コラムはその結果を踏まえて、今回の告発文書問題に始まった出来事とは何であったのか、そして、今後について少し考えてみたいと思います。因みにこの文章は、2024年11月17日、18:00に書き終えました。まだ、結果は未定です。情勢調査などについても近々のものについてはしっかり把握していません。大勢がもうすでに決している段階なのかもしれませんが、私は、結果を知る前に文章を書き終えたいと思いました。それは、結果に一喜一憂していい気になったり、忖度して今回の選挙のまとめを書きたくなかったからです。県政の混乱に終止符を打つことを託された知事が誰なのか、一時間後にその結果が分かります。文章や動画自体は、公職選挙法に違反しないように夜8時以降にアップしていきたいと思います。
選挙戦の先に待っていたもの
今回の選挙、序盤の期日前投票は、投票用紙の配布の遅れなどもあり、若干の投票率の悪さが心配されました。しかし、一転して期日前投票のポイントが徐々に伸び始めました。
そして、今日11月17日投開票日の午後1時の時点での投票率は16・27%ということですから、前回選の午後1時段階の投票率は12・56%を約4%上回る結果となりました。兵庫県の現在の有権者数は約450万人ですから、50%を超えると、225万人が投票することになります。前回選挙が約41%という投票率でしたので、相当な投票率の高まりが期待できます。1月4日時点の発表では期日前投票の伸び悩みが懸念されましたが、実際には昨日までの期日前投票を行った有権者の数は、なんと過去最多の約95万だということです。前回の期日前投票については約60万人ということですから、約35万人以上の方が前回以上にすでに投票をすませていることが見て取れます。
現地にて
選挙戦最終日に兵庫県の元町や三宮の商店街などで街頭演説する候補者たちの姿を拝見していて感じたのは、町の人々たちの熱い思いがぶつかり合う空気です。
それは、決して政策がぶつかり合っているのでもなく、人間の好き嫌いでぶつかり合っているのでもなく、何を信じるかという方向性がぶつかっているような感じがしました。
改革の方向性への情報、告発文書問題に対する考え方に関する情報、候補者個人に対する評価に関する情報などなど、今回の選挙ではデマや嘘がまるで真実かのようにSNSやYouTubeなどで発信されました。
マスコミを批判している声が次第にオールドメディアと新しいメディアの対立構造を形成していくことになり、真実が何かという議論に多くの時間が割かれていきました。4年間の任期を決するこの選挙で決められていったことはパワハラが無かったのかあったのか、贈答品の授受があったのかなかったのかといった事実に対する憶測が飛び交いました。街頭演説でもこれまでの百条委員会での主張を覆すような、前知事の演説に耳を疑わずにはいられませんでした。
間違った民主主義
そして、故人を辱めるような情報が、その出所が嘘という状態であってもまことしやかに叫ばれ、流布されました。さらに県議会の議員を嘘つき扱いし、真実を想像とデマで新たに形作ろうとする行為が横行しました。
選挙期間に大きな報道を制限されているマスコミ大手各社は、些細な情報ではなかなか報道できない状態でした。オールドメディアをはじめこれまで斎藤県政に否定的だった人間たちが言論に各自で制限をかけ始めていきました。次第に、大きな声で叫び続ける人間が真実の伝道者扱いされていくことになりました。伝道者は、次々に有名な配信者たちの手のひら返しに成功していきました。そして最終局面で、稲村氏のリードは急速に縮められていきました。中高生すらも選挙に巻き込み、SNSでの情報戦を行う時代に私たちはどの言葉を候補者の言葉として受け止めるのでしょうか。
もはや兵庫県知事選挙で見えた景色は、通常の選挙の姿ではありません。この選挙以前かから少しずつもてはやされてきたネット選挙の流れは、今後の選挙にも大きな影響を与えるものとなります。
こんな注意喚起がありました
因みに昨日の配信でも留意したネット選挙の決まりをまとめた資料を稲村陣営はしっかりと発信していましたので、今後の参考までに下記に転載しておきます。
勝者は何を思うのか
今回の選挙の争点は、知事の資質にはじまり、県政の混乱をどう終わらせるのかという視点が持たれていました。県政の混乱は誰が所持させたのか。それとも誰かの行動がそのような混乱を生み出すきっかけとなったのか。議論の余地はありますが、その答えは少しずつ見えてきています。
百条委員会での議論の進め方や3月の第三者委員会の調査結果の中身など今後見届けていく内容は多いように思います。
取り急ぎ、10月24日、25日に行われた百条委員会の様子が、選挙後に表に出されます。この情報については、ある立候補者がすでに元副知事と面談して情報を提供してもらったと公言し、街頭演説でその中身を垂れ流しにするような対応をとっています。
秘密会の情報が何処から流出したのかはわかりませんが、この選挙戦で見られた当選を目的とせずに、ある特定の候補者を支援するまれな選挙戦術の過程でこうした対応がとられてきたことは間違いありません。
大量の逮捕者を出し、前例のないほどのデマを拡散し、候補者同士で支援するという方法を行うなかで、県民の良識に訴えかける選挙がなかなか浸透しなかったことも事実でしょう。
全国が注目するこの選挙
分断と恐怖を煽り、そしてたどり着いた17日間の結果がいずれの候補者を選択し、新たな知事としての仕事を任せることになるのでしょうか。
兵庫県民は大きな決断をし、いよいよその結果を受けとめることとなります。そして全国の国民は、その結果を知りどのような評価をその外側からするのでしょうか。民主主義の発展を危惧する声やインターネット選挙の明暗を指摘する声とが今後、叫ばれていくようにも感じています。
これまで長らく、兵庫県の問題について考えてきましたが、一連の県議会の不信任決議案に対する県民の評価は下されました。しかしこのことが告発文書問題に終止符を打つわけではありません。いくつかの機関に出されている告訴状なども含め今後の調査と捜査の展開を見守る必要があります。
いずれにしても民意を得たリーダーの姿勢と手腕に対する県民の期待の高さは、この高い投票率の高さが物語っていると言えます。