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400 ポストSDGsとは?


はじめに

SDGsという言葉はすっかり定着し、胸にカラフルなバッチを付けた政治家や会社員の姿をよく目にします。
国連が掲げる「持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals)」の略称です。ここで言う持続可能な開発とは、将来の世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、今日の世代のニーズを満たすような開発を意味しています。
さて、私たちは2030年にどのようなゴールを切ることができるのでしょう。
今日の教育コラムでは、このSDGsにかわるポストSDGsについて検討が始まったという話題について少しお話してみたいと思います。

現状把握

「誰ひとり取り残されない(leave no one behind)」というSDGsの基本理念を大切に17の目標の達成状況について考えてみることにします。
世界の様々な国が力を結集してゴールを目指してきたわけですが、貧困や飢餓の問題、平和の問題、ジェンダー平等に関わる問題、教育の問題などの社会面に関わる状況はどうでしょうか。
また、エネルギー問題、労働環境の問題、経済的な格差や不平等の問題などの経済面に関わる状況はどうでしょうか。
さらに気候変動や環境保護など環境面に関わる状況はどうでしょうか。
経済成長を持続しながらもこれらの目標を達成していくことはできているでしょうか。
このような視点で見た時にポストSDGsという議論の価値が見えてくると仮定してみてみたいと思います。

各国の達成状況

サステナブル・ディベロップメント・レポート2019

コロナパンデミックの発生の影響で、世界全体のSDGs達成度は2022年度時点で67%弱にとどまっているとも言われています。
2015年9月の国連サミットで150を超える加盟国首脳の参加のもと、全会一致で採択された「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の中で掲げられたこの目標ですが、当初の計画どおりに進捗している目標は平均20%未満との指摘もあるくらいです。
この達成状況を単純に見れば、ポストSDGsを考える前に今の目標をまずは達成するべきではないかと考える人も多いでしょう。また、ビジネス目的でまた新たな目標を定めるのかと勘繰る声も聞こえてくるでしょう。
しかし、次の各国の達成度のランキングを見てみてください。

参照:Sustainable Development Report(SDSN)

2019年度の時点で高い達成度を示している国では80%を超えているわけです。つまり、世界の複数の国ではポストSDGsを必要としているわけです。
学習でもそうですが、全体の目標が必ずしも個々の目標に適しているとは限りません。また、達成状況はいつも全員が同じとは限りません。
今国連や各国が行おうとしていることは、2030年を大きな分岐点として、現状の目標に対する達成状況を分析しそこから目標を立てるのではなく、現在までに行ってきた政策が今後効果を発揮してくる見通しを加味して、SDGsの達成状況を予測し、先の未来への道しるべを新たに立てるというさらに高度なプロジェクトを実行に移しているのです。

誰一人取り残されない

新たな目標を立てる際にやはり気になるのが「誰ひとり取り残されない(leave no one behind)」という言葉です。
SDGsの達成に向けて動くことを国として公式発表している国が全てかというと実はそうではありません。
さらにSDGsに関連する取り組みを予算案に盛り込んでいる国となるともっと少なくなります。貧困や教育の機会の格差は明らかに存在し、その縮小や解消はだれ一人残されないという観点で見れば解決しないまま次の段階に進むことでしょう。しかし、新たな目標を掲げることでその実現に向けた歩みをやめることはないのだと感じます。
言葉と行動のギャップを埋める努力がやはり必要なのでしょう。

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