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「やっと人間に戻れたような気がする」心身ともに休める場所

若年女性のための短中期シェルター「LePhare(以下ルファール)」にCさんが入居したのは、ルファールが開設したばかりの頃でした。

ルファールに繋がる若年女性たちは10代の頃から頼れる先もなく、長い間1人でギリギリの状態で踏ん張ってきた方がほとんどです。
コロナ禍の影響も合わさり置かれている状況がさらに悪化し、行き場を失くしてしまう方が少なくありません。

ようやくルファールに繋がった後も安心できたことで張り詰めていた緊張の糸が切れ、体調を崩してしまう場合もあります。

Cさんもそのうちの1人でした。

入居して間もない頃は体調不良もあり昼過ぎまで寝て、朝の2、3時頃に起きて夜中ずっと起きている生活でした。
職員に対しても少し警戒しつつ多くを語らない状況が続いていましたが、散歩に誘ったり一緒に料理を作ったりする中で、徐々に会話が生まれてきました。

3ヶ月くらい経つ頃にはようやく彼女の方から話始め、半年経った頃から徐々に置かれてきた環境や自分自身について話してくれるようになってきました。

その頃失業関連の手続きのためハローワークに通っていたCさん。事務職に就きたいという想いを持ち始め、必要なスキルを身に着けられるようにとパソコン講座に通うことを決心しました。


生活リズムが昼夜逆転していたこともあり、きちんと通えるかどうか心配はありましたが、職員の心配をよそにCさんは「私は用事があれば起きられる」と宣言。毎回早起きし、自分でお弁当も作り始めました。

結果、週4回、3か月間の講座をほとんど休まずに通い切りました。

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(職員もお弁当に詰めやすいように冷凍食品や野菜を買ってサポート)

講座も終盤に差し掛かる中、Cさんがクリスマス会の案内のチラシをつくって見せてくれました。

「私のが一番出来がよかった!」と自慢げに語る姿は笑顔がキラキラ輝いていて、日々見守ってきた職員も本当に嬉しく誇らしい思いでいっぱいになりました。

「3ヶ月通って、やっと人間に戻れたような気がするよ」

高校時代は朝バイトしながら学校に通っていたCさん。昼まで寝ていて働けず、休んでいる自分が辛かったそうです。

「辛いときは休んでいいんだよ、休んだから見事復活できたしね」と職員も声をかけます。

パソコン講座終了後、さっそく求人票を何十枚も見て最初に受ける会社を決め、就職活動をスタートさせました。
「合格したら焼肉ね!」とリビングの共有ホワイトボードに何行も書いてあります。合格したら焼肉を好きなだけ食べさせてあげたいと思っています。

ルファール卒業も目途が徐々に立ち始めた一方、1人暮らしをしていくには不安も残るCさん。
ここにずっと居られればいいのに・・・と口にする姿も見られます。

シェルター退去後の自立を見据え、健康管理や金銭管理などをサポートしていくのもルファールの役割でもあります。

しかし実際に、シェルターに繋がった女性たちは就労探しに加え物件探しや引っ越しなど越えなければならないハードルがいくつもあります。

退去した後も何かあったときにSOSが出せる場所として繋がり続けること、地域での関係機関と連携し、見守っていくことが一層必要となっています。


「Le Phare(ルファール)」は、孤立、困窮している若年女性を受入れ、他団体と連携しながら伴走支援をしている民間シェルタ―です。2022年2月まで、休眠預金を活用した事業として運営されています。
https://note.com/diversitykobo/n/nb23186464159
ルファールの運営には、家賃に加え利用者たちが生活していく上での食材費、生活用品費、水道光熱費や、スタッフ人件費などを必要としています。助成期間以降、運営を継続していくため、現在寄付による支援を集めています。どうぞご協力をよろしくお願いいたします。
https://www.diversitykobo.org/donate


ダイバーシティ工房は「制度の狭間で孤立しやすい人たち」が、困った時にいつでも相談できる地域づくりを目指し活動するNPO法人です。民間シェルターの他にも、学習教室、コミュニティカフェ、保育園、SNS相談、食料支援などの活動を行っています。活動報告やイベントのお知らせを配信中ですので、ぜひメールマガジンにご登録ください!

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