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言葉と食を通して子どもたちとつながり続けた、子ども支援のインターンで得たもの

こんにちは、学生インターン生の森です!
私は昨年4月からインターンをスタートし、もうすぐ一年になります。

私がダイバーシティ工房のインターンシップに応募したきっかけは、子ども食堂への関心からでした。大学で社会課題について学ぶ中で、実際日本の子どもたちを取り巻く環境はどうなのだろうと、最前線で子どもたちと関わっている子ども食堂の運営に関わりたいと思うようになりました。

せっかくならNPOという未知の世界、もっと深いところが知りたい!と感じていた時に、ダイバーシティ工房がインターンを募集していることを知りました。幼少期から過ごしている千葉県市川市で活動している団体。これは運命だ!と、申し込みをしました。

私はこの一年で、たくさんの方と関わり、たくさんのことを学びました。
このnoteでは、私が一年間で関わった二つの現場を通し、ダイバーシティ工房のインターンだからこそできた経験をお伝えできればなと思っています。

子どもたちがありのままでいられる場所

インターンの中で最も深く関わっていたのは、地域の学び舎プラットで毎週二回開催している無料学習教室です。近隣の中学生を対象に開催しており、子ども食堂の面もあります(2023年3月現在はお弁当を配布しています)。

初めて学習教室に参加した時、私はいい意味で、イメージしていた学習教室とは違うと感じました。
学習を頑張る!と黙々と頑張っているというよりも、のびのびと、プラットの畳の空間で足を伸ばし、時に会話を交わしながら宿題をしている子どもたち。その様子に、親戚のおうちに遊びに来ているようだ、という印象を受けました。それくらい子どもたちは皆、くつろいで思い思いに過ごしていました。

足を伸ばしてリラックスできる広々とした畳の空間(プラット)

このような子どもたちのリラックスした状態がプラットの中で作られていくことを理解することになったのは、とある男の子との関わりの中でした。

初めてプラットに足を運んでくれた時は、もちろん緊張していることもあったでしょうが、彼は「何時まで?」「何時になったら帰っていいの」と時間を気にしている様子が見られました。

しかし半年ほど経って職員との関わりに慣れてきたある日、子どもたちやボランティアさんが輪になってウノをする中に初めて入りました。
そこから彼の様子は、明らかに変わりました。

他の子どもたちとの関わりも増え、口数も増え、自由にプラットの中を移動して、自分の過ごしやすいように過ごすようになりました。そして、自分の考えに強いこだわりを持っていた彼の口調が少しずつ和らぎ、他の子や大人の考えを受け入れるようになりました。

この男の子の変化を見て、私が始めに感じた子どもたちのリラックスした雰囲気は、一朝一夕のものではなく、プラットで関わる大人やスタッフと子どもたちの長い関わりによるものであることに気が付くことができました。

彼の場合はみんなで過ごすことでしたが、一対一でお話をする、スマホゲームをする、勉強をするなど、子どもたちそれぞれに過ごしやすい形があります。

学習教室ではあるけれど、学習を強制せず、一人ひとりのその日に合った過ごし方が受け入れられる空間を作ることの積み重ねが、子どもたちが安心して過ごせる雰囲気を作り出しているのだと思います。

ありのままを受け入れてくれる。それが、プラットの学習教室なのです。


食料を"直接"手渡す

また、定時制高校への食料配布では、主に食料の管理や準備をしていました。袋にカップ麺やレトルト食品などを毎月50食分準備するのは、結構重労働です。
たくさんの袋を準備するたび、こんなに必要としている子がいるんだ、と漠然とした理解はありましたが、どういう子たちに届いているのかわからない状態で準備をしていました。

けれど実際に食料配布の現場に参加して、受け取る子どもたちの様子を見て、活動の必要性を理解しました。

目的の一つは必要としている子に食料を届けることですが、一人ひとりの高校生とのやり取りは、その目的と同じくらい重要なことだと気が付くことができました。

初めて参加した食料配布では、食材を渡すだけではなく、その一つのアクションの中で一人ひとりの高校生と言葉を交わす職員の姿を見ることができました。「最近はどう?」「今日はどんな授業があるの?」ただ食料を渡すだけではなく、食料を媒介に、少しでも多くの言葉を交わし、話を聞く。これこそが、高校生のもとに足を運び、食料を手渡しで渡す意味なのだと気が付きました。

そして私は大変幸運なことに、この食料配布が校内で行われるようになる、という変化も現場で体験することができました。より高校生に近い場所で行うことができるようになった食料配布の現場では、高校生自身が手伝ってくれることも。そのスペースが授業前のたまり場のようになっている状態を見ることができ、これまでよりもっと、彼らの話を聞くことができる場所になっていくように感じました。

食料配布の準備をする様子


子どもたちとつながる意味

子どもたちにとって、家でもなく、学校でもない、でも安心できる場所を提供する。私が主に関わった二つの現場では、それが、一緒に時間を過ごすこと、言葉を交わすこと、そして食を媒介に行われていました。

このような場所があることは、本当に子どもたちが困ったときに、頼れる大人として頭に浮かぶ人が増えることに繋がるはずです。

私はインターンを始めなければ、20年以上過ごしてきた市川で日々行われているこのような活動を、きっと知らないままでした。職員の方々だけではなく、食料配布を始めとする場所で関わった他の団体の方々、学校の先生など、地域にはたくさんの「地域の子どものために」というエネルギーがあって、日々それが動いています。そのことを知った私は、市川ってなんて素敵なところなのだろう、と、市川の魅力を新たな角度から認識しました。

私が感じているこの動きを、市川の人はもちろん、インターンを始める前の私のように、知らない人達に知ってほしい!
私は週に二度、ツイッターで発信する機会をいただいていましたが、学習教室や食料配布に携わるにつれて、この想いをツイートに乗せるようになりました。

ツイートするのは、日々の学習教室や食料配布で感じたこと。いいなと思った子どもたちの様子。その些細な日常が、関わりが深すぎないインターンの私だからこそ伝えられる、少し外から見た工房の良さのように思ったからです。
この動きを知って、興味を持ってくれる人に、少しでもこのエネルギーを届けることができていたならうれしいなと思います。

働く側も受け入れてくれるプラットで

実は一年前の私は、インターンを始める、という一歩を踏み出すのにかなりの時間を要しました。多くの時間をかけて、何も得られなかったらどうしよう。学業との両立はできるだろうか。そういった不安から、一か月ほど応募フォームをいったりきたりする日々を過ごしました。

けれど今では、一年前の自分の選択は間違っていなかった、むしろ一年前の自分、よくやった!と感じています。
大学生活の中で特筆すべきことを何もやってこなかった自分にとって、この一年のたくさんの経験は、大学生活を代表する一年となりました。
私が経験したいと思っていることをなるべく叶えようとしてくださる職員の方々のお陰で、学んだことも経験も、たくさんあります。

工房の方々は、話を聞くことに重点をおいているように思います。話を聞いてもらえる場所があることは、自分に興味を持ってくれる人がいる場所であり、安心できる場所となる。そうやって自分らしくすごすことができるようになった子どもたちをたくさん見てきました。
そしてその姿勢を、職員同士でも大事にしているように思います。そんな素敵な職員の方々と一緒に働く中で、いつの間にか、プラットが私にとっても安心できる場所になっていました。

プラットという子どもたちに居場所をつくる場所で、自分自身も受け入れてもらえたような、そんな一年間でした。



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<ダイバーシティ工房では、大学生インターンを募集中です!>
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