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障害者雇用のポイント 肢体不自由編

障害者雇用を進める中で、どんなポイントで配慮すればよいのかわからないというお声をよくいただきます。障害者雇用は障害者と一括りにすると絶対に成功しません。障害の種類はもちろん、部位や特性によって求められる配慮やできる事は違うためです。ただ、どこがどう違うのかと言うのは経験や知識がないと難しいと思います。こちらでは障害の種類や部位によって配慮するポイントや検討ポイントをお伝えしたいと思います。

身体・知的・精神・発達の種類の中で健常者の方が一番イメージしやすいのが身体障害ではないでしょうか。身体障害の中でも様々な障害があります。肢体不自由や視覚・聴覚などの対面してわかりやすい障害の場合もあれば、内部障害と呼ばれる対面しても障害があるとわかりにくい障害もあります。身体障害の強みとして、認知や判断能力には障害が出ないという所です。環境を整えれば業務フローなどは変えずに業務遂行できることが多いです。ただ、疾患によっては重複障害があるので手帳が身体障害者手帳だから絶対ということではありません。これについては後述したいと思います。では身体障害を持つ方にはどのような配慮が必要なのでしょうか。

肢体不自由の特徴と就業環境

今回は身体障害の中の肢体不自由についてお伝えしたいと思います。肢体不自由は主に上下肢や体幹に障害があり、運動能力に障害がある事が特徴です。歩行移動ができる方や車椅子を使用する方など程度は様々です。そのため、通勤や職場内での移動について配慮をする必要があります。歩行移動が可能でも装具や杖を使っている場合は移動スピードも異なりますし、階段の昇降が可能かどうかも確認が必要です。車椅子ユーザーの場合は階段の昇降は難しいので、スロープやエレベーターの設置が必要となります。また、車椅子や杖を使用している場合は身体単体よりも横幅が大きくなりますので、道幅、ドアの幅なども通れるかどうか確認しましょう。車椅子の場合は職場のデスクの高さが問題ないかも大事になります。車椅子と会っていない高さのデスクを長時間使用すると姿勢が悪くなり、肩こりや腰痛など二次障害につながる可能性もあります。デスク以外にもキャビネットやロッカーの高さなど、業務に必要は資料にアクセスにも配慮するようにしましょう。

通勤と通院について

通勤については電車通勤が問題ない場合もありますが、階段の昇降昇降ができない場合はエレベーターを経由したり、歩行が可能でも電車の揺れに耐えられる体幹がなかったりします。その場合は満員電車に走って駆け込み乗車などが出来ず、健常者の方より通勤時間がかかることが多いです。ご本人の希望にもよりますが時差出勤や、可能な場合は車通勤や在宅勤務なども検討すると通勤で体力を使わずに業務に集中ができる事もあります。

また、これは肢体不自由特有ではないですが、障害者の場合は定期通院をしていることが多いので定期通院に対して勤務時間の配慮が必要です。障害の種別に関わらず定期通院をした後は主治医から勤務について追加の配慮事項などがなかったかを確認するようにします。障害は症状が固定している場合もありますが、肢体不自由の方は進行性の場合や加齢によって身体機能の低下が起きる場合があります。今まで出来ていても段々とパフォーマンスが低下することもありますので定期的に確認する意味でも定期通院のタイミングと言うのは一つの機会となりますので有効です。

緊急時の対応

また、雇用時に盲点となりがちなのが緊急時の対応です。地震や火事など災害が起きた場合、どのように非難をするのか、万が一に備えておきましょう。階段の昇降が出来れば非常階段を使用することが可能ですが、高層ビルの場合は地上まで下りる体力があるのかも確認が必要です。階段の昇降が難しい場合は非常用のエレベーターがあるかどうかによって対応が異なります。停電などでエレベーターが使用できない場合はその方を背負う人員と車椅子を担ぐ人員を想定しておきます。車椅子は手動と電動では大きく重さが異なりますので事前に確認をしておく必要があります。
会社の避難訓練で毎回訓練できればベストですが、障害者の方も毎回は申し訳なくて気が引ける場合が多いです。入社後の初回やオフィスの移転時などのタイミングで最低1回は訓練をして確認しておくとよいと思います。

業務上の配慮

次に業務上の配慮ですが、冒頭でも紹介した通り、身体障害の場合は、判断や認知には支障がない事が多いです。特に肢体不自由の方は上記のような環境を整えれば健常者の方と同じように業務を遂行できることが多いです。
ただし、脳梗塞や脳卒中などで肢体不自由になった方は肢体不自由以外に記憶などに障害は出る場合があります。記憶については受傷時に診断をすることが難しいですし、ご本人がそれに気づくのにも時間がかかる事もあります。そのため、雇用時に確認をすることもそうですが、入社後に違和感などが出る場合はそれも障害特性となりますので指示の仕方などに配慮を行う必要があります。口頭のみの指示ではなく、必ずメールなど文字で残すようにしたり、指示したら終わりではなく途中経過を確認したりするようにすると良いでしょう。

また、肢体不自由の中には欠損と言う種別もあります。上肢や下肢の一部がないという障害ですが、こちらも部位によって配慮するべき事項は大きく異なります。手の指がない場合と足の膝から先がない場合はできる事が違うからです。また義手や義足を使用している方もいます。欠損に限らず肢体不自由の方は方に程度に応じて力作業や事務作業の得意不得意が異なりますので、雇用時に具体的に確認し、必要な配慮を確認しておきましょう。例えば両手を使う穴あけパンチや捺印作業は片腕を欠損している場合や片麻痺を持っている場合は苦手だったりします。しかし、もう片方の腕には障害がない場合もあるので字をきれいに書くことが出来ます。逆に両上肢に障害がある場合は穴あけパンチは可能ですが捺印作業は手が震えて苦手だったり、字をきれいに書くことが苦手だったりします。
場合によっては苦手な作業は他の方が対応するなど業務フローを少し変更することも必要になるかもしれません。指示の方法やタスク管理などは健常者と同じ方法で業務遂行できることが多いです。

最後に

今回は肢体不自由の方は雇用する際に検討すべきポイントをまとめてみました。あくまで私のこれまでの経験と知識も範囲で書いているため、これが全てではないと言う事は補足させていただきます。
もし、こういう場合どうすればいいの?と言う疑問などあれば弊社の無料メール相談にお送りいただければ回答させて頂きますのでお気軽にお問い合わせください。

障害者ではなく、こういう特性を持った人なんだという視点で考えていただくと企業にとっても障害を持つ方にとってもWinWinな職場、多様性のある職場になると思いますし、一つでもそういう素敵な職場が増える事を目指していきたいと思います。


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