『EUPHORIA/ユーフォリア』から見える、ダークでタフなZ世代の生き方

気づけばZ世代の話しかここに書いてない、いろんな視点ではあるけど。
今日もZ世代の話です。

ずっと観ようと思って観れてなかった話題になったHBOドラマ「EUPHORIA/ユーフォリア」シーズン1全8話を、一昨日から昨日にかけて一気観しました。

先に言っておくけど、このドラマの細かい解説とかは、他にたくさん丁寧に書いてあるサイトやブログがあるので探してください。
後、ネタバレダメな人はこの先自己責任でお願いしますね。いいレビューを書くつもりも、ストーリーを細かく書くつもりはないけど、個人的に惹かれた部分について話します。


そもそもこのドラマ、2019年私がNY在住時に大ヒットしてました。
近しい人が観ていたとか直接的なものはなかったけど、ビジュアル・ルックがいいと評判でインスタやTikTokでよく見かけてたなー。

影のあるネオンカラーのライティングと所々ぼやけるような映像。キラキラ個性的メイクも特徴的。
映像はエル・ファニング主演の「ネオン・デーモン」のような感じかな。あれはストーリー薄かったけど。

また、「我らがDrake製作総指揮」とか、「ディズニースチャンネルのスターZendaya主演」...みたいな感じでも話題になりました。



さて、肝心のストーリーですが、まさに私がいつも話しているZ世代の「リアル」を描いているなという印象を受けました。「私は」ですけど。


と言うのも、「過激、ショッキング」とか「あり得ない」とかいう意見がちらほらあったにもかかわらず、私は結構各登場人物全員に寄り添ってしまったので...

実際AERAも10月の記事でこんなこと書いてます。

ティーンエイジャーを描いているとは思えないほどショッキングな内容に、デジタルネイティブであるZ世代の“リアル”を大人たちは突き付けられることになる。

出典: https://asm.asahi.com/article/14460021

私自身がアメリカナイズドされているのもそうだし、確かに「ティーンエイジャー」の物語として見ると過激すぎるような話もあるけれど、もっと大きい括りの「Z世代」として見るとけっこーリアルでしたよ。


ミレニアム世代以上ではまだまだ話すことにタブーの雰囲気漂う、ジェンダーとか性行為とかの話が当たり前のようにスッと出てきます。以下の記事も良かったら見てください。


例えばJulesというキャラ、トランスジェンダー設定でしたね。字幕なし音声英語で全編観たので私の脳が聞き逃していたんだったらすいませんが、Julesの過去章であまりに自然に公表されたんで全然印象になかった。
もちろん彼女本人にとっては大きな要素なんでしょうが、Rueの視点というか周りの友達視点から見てると、彼女が男として生まれていたことなんてほんとに「どうでもいい」なーと思ってました。
母親との関係はひどい話ですが、高校生になったJulesがいじめられたりする描写がなくて安心しました。友達がトランスかどうかなんてZ世代じゃ「どうでもいい」んだよね。
Rueとの女同士で友達以上恋人未満の関係の描写も、「当然」な流れで良かったです。

急に私の実体験の話をしますが、女性のカットが凄い上手な中性的な見た目の美容師さんがいて、インスタDMで予約して髪切ってもらったことがあります。
センスいい人だったので、実際に予約日になって初対面して席に座って、るんるんで「全部お任せしま〜す」とか言っちゃって。浮かれた軽いノリの受け答えばっかりしてたらその人が突然、「よく『女性かと思ってました...』ってお客さんに言われるんですよね。だからびっくりしませんでした?」と言ってきて。

「髪切るセンスいい人」なら、私にとって男か女なんかまじでどうでも良い話で、素で「別にどうとも思ってないですし、どっちでもいいです。」とか言いました。そしたらめっちゃ笑われた。「アメリカンね〜!」って。なんだよアメリカンって!え、真面目な話どうでも良くないすか?


とりあえず話をEUPHORIAに戻します。

オンラインと実生活で二面性のある生活を送っているKatちゃんもゾクゾクしました。これ、私の学部3年次の研究にクリティカルヒットです。(この話はまた今度。)
色々あって実生活でも「デビュー」して自分の武器を見つけると、地味オタ系ファッションから急にパンクロック路線になってしまうわけです。そもそも私自身が裏表隠し事が基本ない一面性人間(?)なので、観ている時はあんまり共感できなかったけど、この「デビュー」は今改めて考えるとわかるな〜。
以前書いたピアスの記事とも関連するんですけど、世界は変わってないのに自分の世界の見方が急に変わっちゃう儀式という意味での「デビュー」や「特異点」って確かにあるんですよね。

その「デビュー」で勘違いしちゃって色々残念なイタい女になっていくんだけど、最後はそれを認められて素直な女子にReturn To Innocenceするシーンがかわいいです。Katが本作で一番成長した女だよ。



また、ダークな問題として、精神問題、薬物、性被害・性暴力、堕胎、親子問題もしっかり描かれています。実際問題、こういうことってほんとにこの世代だと意外と目と鼻の先にあるんですよね。

恋愛でいうと、MaddyとNateのズブズブ依存関係、キツいですね。
カーニバルのシーンの彼女はあんまり好きじゃなかったけど、私はどうしても同性のMaddyに共感... 
自分にはその彼しかいないと思って、よくないとわかってるのに何回も戻っちゃうよね。側から見てたら意味わかんない自殺行為だけどね。


ただ、それ以上にCassieとMcKayカップルの方が見てられなかった...
Nateは確実にDV系だけど、McKayの普段は優しいのに、時折出るモラハラ自己中発言...ああ...これ女子側が徐々に心死んで行くやつだ。
Maddyは狂ったように泣き叫ぶことができるけど、Cassieは無表情でツーと涙を流す。あああ...
中絶に挑む道のりには当然のようにMcKayの姿が出てこない。もうまじで...


女子の方にだって問題がないわけじゃないけど、どうしてこうも男>女の力の構造はどうしようもないのか。
「女は泣けばいいと思ってる」とかよく聞く言葉だけど、女は結局「受ける」位置にあって、泣くしかできないよね。
それを汲み取れない男は本当に残酷で冷たくて厳しい。


そんなこんなで、ダークな話が多くて終始キチー!救えない!って感じだけど、Z世代の多くはリアルでこういうことを経験してきてるんだよなあというズーンとした気持ちで一気観したわけです。
もちろん全員がそういうわけではないし、そもそも経験しなくてもいいことであるべきなんだけど... 俗世界最悪だから... 自分自身で身をもって知るしかないことが多すぎる。

Z世代タフすぎる、普通にやめたい。でも、思考も生き方もすっかりその一員だからやっていくしかない。
そんなこと考えながら観ました。

観れる人はぜひ観てもらいたい、Z世代の描写がかなりリアルな作品です。
似たような感じで流行った「13の理由」よりいいドラマかと。
来年のシーズン2も楽しみだなあ!という月並みの感想で今回は締めます。


余談ですが、製作総指揮Drakeさんということで、使用楽曲のセンスが抜群でございました〜。
またEUPHORIAの声と言っても過言ではない、Labrinthのオリジナルもかなりいいです。

作中で良かった音楽少し貼っときます。


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