田原夕

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田原夕

ブログをやっています http://dismal-dusk.hatenablog.com/ 感想記事はネタバレを含みます。

最近の記事

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https://hesperas-drafts.blogspot.com/ 今後の更新はこちらで。フォロー機能もシェア機能も課金機能もありません。 ですが、読める文章の性質は同じです。 noteのアカウントと過去投稿は消す予定ありません。 今後ともよろしくお願いします。

    • 日生佑稀「かわいいひと」について

       標題に掲げた作品は、『デイライト』という短編集に入っている。作者はR18シーンを含む女性向け異性愛物語、いわゆる「ティーンズラブ」というジャンルで活躍中であり、今回の物語もそのジャンルに分類される。 なかなかこうしたジャンルを概説した資料というのは稀少で、衿野未矢『レディース・コミックの女性学』あたりしか思いつかない*1 。何かガイドがあればよいのにといつも思う。  ジャンル分類に拘泥していても仕方がないので本題に入ろうと思うが、今回わざわざこの物語をとりあげるのは、そこ

      • 紺野りさ『片恋ドロップス』について

         この文章は、COMITIA131で配布したフリーペーパー「平成少女マンガ夜話+」の一部です。少女マンガ夜話本編はこちら。 (以下、『片恋ドロップス』の紹介)  この単行本は表題作(全3話の連作)+短編2編を収録している。  表題作は、男1女2の幼馴染の三角関係という古典的な構図を取っている。ただ特徴的なのは、主人公・結衣のライバルである早苗が、かなり早期に男(大志)のことが好きだと結衣に明かす点である。具体的には、早苗は「結衣とは あたし フェアでいたいからちゃんと言う

        • 中島梓『タナトスの子供たち』について

          「やおいは「強姦」を「愛してるよ」と翻訳する、そういうシステムです。」(p. 88)  断言しているが、これはもちろんやおいに限ったことではない。  『センセイ依存症』という電書のTLマンガに、小学生の女子が男に下着を触られて「嬉しかった」と感じる描写がある。まあこの場合は強姦されたわけではないし、彼女は人の性的部位の意味も教えられず理解していなかったのだろうから、うれしいと感じることが絶対ないとは言えない。  しかしながら、私は同時に映画の『ジョニーは戦争に行った』の冒頭

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          二宮ひかる「ひまわり」について

           標題の作品に筋と言えるような筋はない。ただ、進路を考える時期の高校生男女が、特に理由もなく性交をするというだけの話である。知り合うまでの経緯だとか、その後の両者の関係だとかについてくどくどと語るわけでもない。  どこで読んだのかは忘れてしまったが、この作品の次のページを挙げて感想を述べていた人がいた。 「ひまわり」 (二宮ひかる, 『初恋』, 白泉社, kindle版2015, p. 22)  その短い文章は、女のほう、春日友恵の「清々した」という言葉に共感した、とい

          二宮ひかる「ひまわり」について

          二宮ひかる『シュガーはお年頃♡』について

          作品名のハートマークが文字化けしているかもしれないが、各自補ってほしい。  私にはこの作品は一部かなりハードな性暴力を扱ったものと見え、以下の文章もそれに沿ったものとなるので、特に過去に被害に遭った方は読むかどうか慎重に考えていただきたい。  この作品は主に女子高生二人の絡みで構成されている(最終巻である3巻は若干違うが)。その二人とは、「将来は娼婦になりたい」と思っている畑中恵子と、売春をやっていると学校で噂を立てられている浅見椿である。  畑中のいう「娼婦」とは具体

          二宮ひかる『シュガーはお年頃♡』について

          文学フリマ等に行って思ったこと

          わざわざ公開しなくてもいいのだろうけど社会性を発揮しておきます。 私が最も読みたいもの その人が好きな作品をいくつか挙げて、なぜ好きになったのか、どんな理由で好きなのか、その人と作品との内的な接点は何なのか、それについて思考した道筋を語ってほしい(各8ページくらいで)。「好きなことに理由なんてねーよ」という人もいるかもしれないが、それならばその「好きなことに理由なんてない」という主張に至るまでの思考の道筋を語ってほしい。それはものすごく読みたい(自分もそういう節はあるので)

          文学フリマ等に行って思ったこと

          『少女マンガはお嫌いですか?』 2巻について

           1巻についてはこちら  最初の記事で宣言したとおり2巻も読んでみたが、どうにもこの作品の面白さがわからないまま話が終わってしまった。  この作品でたびたび言及される、「少女漫画的」という形容には、どうしても違和感を覚える。それが、むしろ少女漫画を侮っている人が抱きがちなステレオタイプを指しているからである。例えば作中では、少女漫画のような男性のしぐさとして「仕事で失敗して、トイレで泣いていた後輩女性を気遣ってさりげなく食事に誘う」というものがあるとされる(p. 28)。

          『少女マンガはお嫌いですか?』 2巻について

          『テイルズオブザレイズ』第二部第一章について

           私は中学から高校にかけてテイルズシリーズをいくつかプレイしていた。ただ、私はテイルズについてストーリーの面白さなど全く求めていなかった。当時私が傾倒していたノベルゲーム群のストーリーと比べて、テイルズのそれはあまり印象に残らなかったのである(だがエターニアとリバースのいくつかのイベントは今でも覚えている。P、D2あたりはほぼ覚えていない)。むしろ私は、術技、スキルの組み合わせや習得、あるいは戦闘操作等の要素にテイルズの楽しさを見出していた。  そういうわけで、スマホゲーと

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          高橋依摘『僕はきみの餌食』について

           この作品はおそらく15禁相当なので注意。  このオムニバス形式の作品の共通設定を紹介しておくと、「人間の体液摂取を必須とする淫魔たち(男性形女性形どちらもいる)が、人間社会に適応しつつ体液摂取元を確保するため会社を設立しました」というものだ。その会社内では当然ながら、淫魔と人間のカップルが日々イチャイチャすることに励んでいる。  これだけ聞くと、明らかにエロシーンに持っていく意図しか感じられず薄っぺらい娯楽作に思えるかもしれないが、そんなことはない。一つ一つの話が本当に

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          吉岡李々子『キミに小さな嘘ひとつ』について

           双子の姉妹の愛憎、偶然と運命、嘘と真実といった、物語を面白くする要素をこれでもかと詰め込みながらも、この作品をそういう切り口で語る気になれないのはなぜなのだろう。  むしろ、そのようなストーリーの流れからすると本当に枝葉にすぎない一言に、私は閃くような輝きを感じる。  例えば、夏祭りで金魚すくいをする千星の一言。 里見「どうした…? 難しいカオして」 千星「これ(金魚すくいで使う輪)を水に入れたら破けるが 入れないと取れない そんな人生の縮図が今ここに」 (2

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          森田羊『少女マンガはお嫌いですか?』について

           正直、作品としてはあまり好きではない。人物の味付けがテンプレだし、そこでときめくのか? という描写があったり、モラハラ気味の男や女子高生が見ていて苛々する。  ただ、この作品の主人公が「女子は少女マンガに何を求めているのか」を次のような形で語る部分には注目すべきだ。 「私ら女子は 現実で転んだら 手を差し伸べてくれるイケメンも やさしく諭してくれるロマンスグレーのオヤジも いないことくらい知っています だからみんな自力で立ち上がっているんですよ」 夢見たってい

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          咲香里『Sweet pain little lovers』について

          Sweet pain little lovers (プラザコミックス) | 咲 香里 |本 | 通販 | Amazon https://www.amazon.co.jp/gp/product/4883861767  筋としてはよくある病弱ものと妹ものの融合といった感じで、絵柄も時代を感じるし、個人的にはそこまではまらなかった。ただ、主人公と妹の間で一つだけとても印象的なエピソードがあった。  この紙幅でコマを貼り付けるわけにもいかないので説明すると、妹・けいは幼いころは入

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          二宮ひかる『ハネムーンサラダ』について

          ハネムーンサラダ 1 (ジェッツコミックス) 白泉社 https://www.amazon.co.jp/dp/4592134184/ref=cm_sw_r_tw_awdo_c_x_DkKbCbH01HMQZ  この3巻では、かつて遙子に「私たちが付き合っていることを言ったらみんなはなんて言うだろうね」と言われた実が「そんな恥ずかしいことはしない、サル山のサルみたいだから」と返すシーンがある。 「誰と誰が付き合ってるだの別れただの 同じ学校とか同じクラス内で騒いで なんか動

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           特に使っていなかったこちらのサービスですが、最近読んだ漫画の感想などの感想を雑に書き、ネタ帳として活用したいと思います。  読んだ後に好き勝手書くものなので基本的に全部ネタバレはあります。  各記事は元のブログほど長くせず、閲覧数などの反応が高ければ加筆して元のブログに載せる、という方針でいこうと考えています。

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