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「大麻の社会学」まとめと感想

 やはり難しい本でしたが何とか読了…ということでまた乱暴に3行でまとめてみます。

  • 大麻への評価は、時代や国によって、個人使用者への厳罰、非犯罪化、医療化、合法化と課税、など様々に変わってきた。

  • ヨーロッパでは、いかにドラッグの害を減らすかという考え方(ハームリダクション)基づき、大麻に対しては刑罰ではなく医療福祉を与えて管理している。アメリカでは、黒人・メキシコ系への差別を伴った規制から始まり、大量の逮捕者を出したドラッグ戦争を経て、見直しの議論が続いている。

  • 日本では大麻喫煙への知見がないまま規制が始まり、小規模なドラッグ戦争が続いている。「厳罰化への批判」「医療用途での患者の権利論」「産業用利用論」などの主張はあるが、社会的論争にはなっていない。

 以上です。欧米と日本のドラッグ政策や考え方の違い、変遷がたいへんよくわかりました。
 そして思うのは、欧米に比べると日本は大麻を含めたドラッグというもの全般に、知識や経験が浅いのだなあと。ヨーロッパほど研究されていないし、アメリカほど逮捕者や使用者が身近にいない。大麻喫煙についてよくわからないままに規制が始まり、現在もよくわからないまま…。ちょっと情けないとも感じます。
 わたしはこの本を読み、規制の考え方には幅があり、違法か合法かだけではなく、罰を与えるとしても懲役刑なのか、微罪とするのか、はたまた違法だが起訴はしないのか、などいろいろな選択があることがわかりました。
 また、大麻に限らず、依存症になってしまった人をどうやって社会復帰させていけばよいのかという点や、「ハームリダクション」の考え方についても広く知られてほしいと思いました。
 日本にとって最適な対応が何かはわかりませんが、多くの人が知識を得て、議論し、納得したやり方で進めるべき、との思いを強くしました。
 さて、3冊目にとりかかります。

本の紹介トップページはこちらから

「大麻の社会学」要約リンク
要約①ドラッグとは、依存、害 
要約② 欧米の大麻政策、戦前アメリカの規制
要約③ アメリカのドラッグ戦争、日本の規制
要約④ 大麻精神病、日本での自由化運動


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