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「カンナビノイドの科学」要約①

 「カンナビノイドの科学ー大麻の医療・福祉・産業への利用ー」(日本臨床カンナビノイド学会編、2015)を読んでいきます。
 カンナビノイドとは、体の生理的調節機能に作用する化学物質で、人体にもともと存在している物質らしいのですが、大麻には104種類が含まれているそう。
 で、このカンナビノイドが不足すると成人病や精神疾患につながるのではないかとの仮説のもと、大麻を摂取して補充するという治療法、大麻の医療利用について書かれた本のようです。規制緩和が進んでいる「医療大麻」、どんな効用があるのか、リスクはどうなのか、見ていきたいと思います。

【第1章 カンナビノイドの基礎】

  • 大麻に含まれるカンナビノイドは、もともと体にある内因性のものや合成品と区別するため「植物カンナビノイド」と呼ばれ、①薬草を利用する食品、化粧品、嗜好品、②サプリメント(機能性表示食品)、③カンナビノイド医薬品、の3つに分けられる。医療用大麻は①に含まれる。

  • 2015年時点でカンナビノイドを多く含む大麻の花穂や葉の利用は、医療目的であっても医師、患者ともできない。薬理学的には、最も中毒性が高いのはヘロインとアルコール、次にコカインとニコチン、大麻は最も低くカフェインと同程度であるが、薬理学と法律は一致していない。

  • 主要なカンナビノイドは「THC」と「CBD」である。THC、テトラヒドロカンナビノールは痛みの緩和、吐き気を抑える、けいれんを抑える、食欲増進、の効果がある。CBD、カンナビジオールは抗不安、抗てんかん、抗糖尿、抗炎症、骨の成長促進、に効果がある。

【第2章 アサに含まれる植物性カンナビノイド】

  • 大麻に含まれるカンナビノイドは104種類が知られている。デルタ9THCタイプ18種類、CBDタイプ8種類、CBGタイプ17種類などがあり、それぞれ作用が異なる。未分類なものも22種類あり、今後の研究の進展によって有望な薬理作用が発見される可能性がある。

  • 大麻の花、葉、茎、種子には500以上の化合物が含まれる。最も多いのは香り成分の「テルペノイド」で、120種類以上ある。これらはアロマセラピーにとって重要な化合物で、種類によって抗炎症、抗菌や肝臓強壮、疲労回復など様々な作用があるとされる。大麻に含まれる多種多様な成分は、まだまだ未解明なところが多い。

  • 医療利用に際し、個々のカンナビノイドより植物エキス全体を用いた方が、様々な成分の相互作用によって優れた治療効果が期待でき、「アントラージュ効果」と呼ばれる。研究によると、CBDの抗炎症作用はCBD単一より植物エキスを用いた方が少量で著しい作用が得られ、副作用も減少する。

要約②へ続きます


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