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娘の自立にむけて!の一日。

帰省していた娘が、今朝、下宿先へと戻っていった。

残りの大学生活は、わずかで、あともう少しで卒業式というこの時期に、珍しく、1週間もの長居をした。

新居を探すのが、今回の目的だった。


何もかも自分でしなさい


と、言ったものの、新居を見に行くのはついてきてほしいと言うので、まだまだ甘々の私達は、ついていくことにした。

前もって娘がネットでアポをとり、不動産屋へ伺うことになったのは金曜日のことだった。

予定の時間に、不動産屋へ到着すべく、早めに乗用車で出発!

田舎のせいか、この町には、ネットやテレビで聞くような、全国展開の不動産屋はなくて、2つほど隣りの大きな町まで行くことになる。

助手席の娘はずっとスマホで、地図を確認。

「そこ、もう少しすすんだところの左手にある・・・」


主人は、娘のナビに従い、運転を。

滅多に出歩かない私たちにとっては、久しぶりに少し都会へのお出かけだ。

新しい店や建物で、どんどん町の雰囲気は変わり、不動産屋がどこにあるのか分からないが、娘のナビに従っていくと、見えてきた!

テレビでもたまにコマーシャルでやっている、〇〇ショップ!

娘は何も言わず車を降り、いそいそと店の中へ。

主人は後を追うが、私は車の中で待機することにした。

成人した娘の部屋探しのために、親2人が雁首並べるのは、ちょっとやりすぎかなと思って、遠慮した。

ちょっと寂しかったけど。


ちょっと感傷に浸っていると、いそいそと二人が舞い戻ってきた。

どないしたん?

ちがった!


娘が店内まで足を踏み入れたところで、自分で予定を入力した、スマホを確認すると、違う店名が書かれていたそうな・・・。


おいっ!(心のつぶやき)

もう22歳よ?!これから、自立よ?!そんなんで・・・・・?!

と、言いそうになったが、ここは言わなかった。


本心は叫びたいやら、呆れるやらの心境だったけど、止めた。


再度、娘のナビで、10分ほど道を戻ることになった。

今度出てきたのは、これもテレビでよく聞く、〇〇ネット!

今度は、店員さんが店先で出迎えてくれた。

私はやはり車内で待機することにした。

ところが今度は待てど暮らせど帰ってこない。

途中、主人が煙草を吸いに出てきた。


書類、書いてるからまだもう少しかかる


と、途中報告しに来てくれて、店内に戻って30分ほどたって、やっと車内へ帰ってきた。

今度は現地を確認しに、自宅の隣り町方面へ舞い戻る。


40分ほどの道中、会話らしい会話はほとんどなかった。

そんな娘の表情が和らいだのは、現地に着き、新居を吟味するときだった。

畑の跡地に建てられたらしい新築のマンションのうちの、候補に挙げられた空き部屋をいくつか回った。


1LDKと、小さな部屋がヒトツついている造りで、十分なクローゼット収納もついていて、お風呂も広い。(お湯張りや追い焚き機能など、ボタンがたくさん!)エアコンや、照明もついていたっけ。


わぁっ!いいな~!


声をあげたのは私。

こんな部屋で独り暮らししてみたかったなぁっ!(とは、心の声)

娘も目をランランとして、眺めていた。

無事に娘の希望通りの部屋に決定し、娘は後に不動産屋へ再度伺う約束を取りつけ、家路に向かった。

車中、しばらくは和やかな雰囲気は続いたが、一転したのは、主人が娘に口火を切ったときだった。


遅刻はするなよ!ゼッタイするなよ!

お金の使い方も、考えやなアカンねんぞ。分かっとる?!

道幅狭いんやから、車の運転も気を付けないと!

食べるものも、ちゃんと考えて食べやな身体こわすぞ!


主人は、矢継早に娘へ伝える。

分かってるって!ちゃんとできるって!

今だって、しっかり暮らしてるんだから!

心配しなくてもだいじょうぶやって!

ね?!


娘をフォローするように、空気を和らげようと焦りながら相づちをうったのは私。

娘は、相変わらず、スマホに目をやりながら無表情で返す様子もない。

やや険悪な雰囲気のまま、無事に家に到着。


娘はとんぼ返りするようにして、残りの契約の書類を仕上げるために不動産屋へ向かった。

無事に契約成立の書類を仕上げ、帰ってきた娘を呼び止めたのは、主人。

主人は、何やら記したメモ書きを娘に示しながら、説明する。

息子にかかった学費。娘にかかった学費。
下宿代。
息子の車代やバイク代(息子がいま一部返済中)
今回買った娘の車代。

・・・・そして、「これ!これをお前に渡すから、自分でやりくりして自分でやっていけ。これ以上は親からはお金は出ないと思えよ」と。

娘がいつか渡そうと思って、頂いたお祝い金などを使わず貯めていた、結婚資金になるはずだったお金の入った通帳を渡した。

私は、ある程度家庭のことなどを考え、学費面なども調べて進学先を選んだ記憶があるが、漠然としか覚えていなくて、どれだけ親が大変だったか、想像しかねた。

ただ、いざ自分の子どもを大学にやるようになって、大変だったんだろうなとは実感したものの、親の年収に対してどのくらいなのかも分からないし、私は近所の大学付属の短大に進学したのに対し、妹はその大学だったし、弟は何浪かしたうえに、実家から離れた大学へ通い、学費はいちばん安く済んでいる。

三人もの子供を、短大、大学へやるには大変だっただろうことは想像できるが、漠然としか分かりようがない。

主人が数字にして娘に示したように残してくれれば、もう少し明快だったのかもしれない。と今でも思うので、そのことについては賛成よりだ。

私も親に明確にそれを提示されていたら、もう少し記憶に残り、もっと感謝できたのかもしれない。

周囲の子たちも、だいたい大学へ進学していたし、親も願っているのが見え見えだったし、高校に進学するのと同じくらい普通だと思っていたバカ娘だった。


それでも、家庭の事情で自分の希望の進路が阻まれた面もあるので、娘には自分の行きたい大学へ通わせてあげたいと、主人にも相談し、娘の希望通りの進学は叶ったが、下宿が必要なこともあって、息子以上にお金はかかった。

主人も賛成してくれたのは、主人も進学した学校といい、その先のことも家の都合の割合が大きかったところだろう。

そのことも、主人の示したメモ書きを見れば一目瞭然だ。

自分がこれから稼ぐ賃金と、照らし合わせることも出来るだろう。

娘が、それを見て、何を思うのか、思わないのか分からないけど、とりあえず、そこで「ありがとう」と娘の口から出てきた。

そして、通帳を持って、新居に入居のための一時金を支払いするために、コンビニへむかった。


長い長い一日だった。

来月に、我が家から一時間足らずの圏内の新居へ、引っ越すことになりそうだ。

今は帰ってくるとなると、4時間ほどはかかるから、ちょうど良い距離感なのかな。

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