見出し画像

豆に帰結する

ネオバビロニアこと新潟市の片隅にある小さな田舎が故郷である俺は実家に帰り夜の空を見た。
そこにはまるでダニに食われた跡のような星空が広がっていてそれはそれは美しく「まるでダニに食われた跡のようだ」と思った。

無作為に星を線で結ぶ。
何万光年もの距離を超えて今俺の網膜が捉えた光。
恒星が自らを燃やして放ったそのメッセージがそこにはあった。
「マ…メ、豆!」
豆菓子について考えなければならないと星たちは伝えていた。

我々はポテトチップスを食いながら恋をしたり、生きる意味について考えながら大人になってきたように思う。
青春の横には常にポテトチップスがあり、病めるときも健やかなるときも肩を組んでズッ友だよ!って言い合ってきた。
でも、俺は年を取った。
気付けばあまりポテトチップスと暮らしを共にしなくなっていた。
たまに会えば親しくするが普段は連絡もしない、そんな関係になっていた。
するとポテトチップス側も怒りのあまり袋に空気を詰め込み膨らんで内容量を減らしていった。
こうなると負の連鎖、ますますポテトチップスに手を伸ばすことが億劫になってしまった。

そんな空虚な日々の中で出会ったのがポリッピー、君だった。
一粒一粒に存在する豆。外カリッ中カリッの食感のらせん構造が生むリズムはまさにフレッシュと言わざるを得ない。
少し濃い味付けが「まだ俺だってやってやるって!」という若さへの執着心にも寄り添ってくれていた。

豆!これからは豆だ!

天啓(エウレカ)に撃たれた俺はそこからいかピー、珍味豆、黒豆せんべい、果てはひよこ豆カレーに手を伸ばして自分の中にあるフロンティアを探した。

その結果、「カレーは肉入れたほうが美味しいなぁ」という感想にたどり着き今はもうあんまり豆食べない。

寝よう。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?