早朝の花粉症の合い言葉　【こちら覆面DI室　#004】

「先生は花粉症ですか？」

春先、こんな切り口で話を始めるMRさんが多いです。
実際のところ、筆者は花粉症ではありません。

「いや、花粉症じゃないんだよ」
そう言うと話題も終わってしまいます。
せっかく考えてきた切り口なのに、悲しそうな顔。

だから
「最近、眼がかゆくなってきたよね」
くらいに答えるようにして様子をみることが多いです。

ときどきこちらから話を盛り上げて、
MRさんの技量をチェックすることもあります。
「花粉症？ この時期つらいよね。何かいい薬でもあればいいのにね」
とね。

あなたなら何て答えます？

やっぱり意外な答えを期待しています。
たまには自社製品以外を褒めてみるのも技だと思いますよ。

私が感心したDさんの答えは
「いい薬があれば僕らも苦労しないですよね」
うーん確かに。

「おはようございます」
この日の私は夜勤です。
明け方5時半、眠い眼をこすりながら注射薬の払い出しをしていると、ちょうど出勤してきた先程のDさんに廊下で出会いました。

「おぉ、早いねえ」
「いやぁ、今日は外科のモーニングカンファレンスがある日なんですよね。早めに来ておかないと」
「早めと言っても、まだ5時台だよ」
「早く来ちゃうのは昔っからの癖でしてね」

モーニングカンファレンスに出勤してくる医師たちに「おはようございます」とあいさつ活動（略してアイカツ）をしていたMRさんたち、
令和の今は、何やってるんでしょうね。

「こちら覆面DI室」は休刊となった週刊approach誌に連載されていました。
そのコラムを少しだけ改編して掲載しています。